たしかに、このタイミングで三浦さんの代役となれば注目度は計り知れず、その評価によっては俳優人生を左右するものになりかねない。だが、それでも作品を「お蔵入り」にはしたくないという制作サイドの思いも強いという。

「ひとつは、三浦さんの作品に対する思いを引き継ぎたいという気持ちです。三浦さんは本当に作品ひとつひとつに真剣に向き合っていたので、今度は自分たちがその気持ちに応えたいという思いです。もうひとつは、表には出てきませんが、経済的な事情です。現実問題として、新型コロナウイルスの影響で、舞台やドラマに関わっている関係者も経済的にかなり苦しい状況で、何とか作品公開まではこぎつけてほしいというのは偽らざる本音でしょう」(芸能関係者)

 瀬戸際に立たされている作品もある。9月スタート予定だった「おカネの切れ目が恋のはじまり」(TBS系)は、三浦さんが亡くなる前日まで撮影に参加していたドラマだ。それだけに関係者のショックは大きいが、なんとかドラマを継続していこうと模索する動きもあるようだ。

「すでに3話まで収録が行われていますが、放送するか、お蔵入りするかは現在協議中です。一部出演者サイドやスタッフからは放送を望む声もあり、三浦さんの所属事務所サイドもTBSや共演者、スタッフへの配慮から自社の所属俳優を代役として立てるプランを提案しているようですが……。しかし、ドラマの内容がコメディータッチということもあり、代役をこなせる俳優が見つかるかは不透明です。この状況では誰が代役になっても、視聴者がコメディードラマとして笑いながら見るのは難しいのではないかという声は根強い。この作品に関しては、お蔵入りもやむなしという関係者も少なくない」(テレビ関係者)

 一方で、ネット上では「三浦さんが必死に取り組んだ作品なので途中から代役になっても見たい」「途中からの代役は三浦さんと仲が良かった人にやってほしい」など放送を望む声も出ている。

 三浦さんが亡くなった悲しみを抱えながら、残された仕事関係者たちは難しい判断を迫られている。(伊藤茂)