労災保険を受けたい場合の窓口は健康保険組合などではなく、労働基準監督署になります。実際にけがなどをした場合は事業主経由で労災申請を行いますので、まず、事業主に相談するのが一般的でしょう。

 さらに、治療を受けている病院が「労災保険指定医療機関」の場合は、「療養補償給付たる療養の給付請求書」を提出することで、病院はケガの治療にかかった費用全額を労災保険に直接請求することになり、窓口で医療費を支払うこともありません(※)。
 
 労災保険指定医療機関でない病院の場合は病院の窓口でいったん医療費を支払い、あとで労災保険から還付を受けます。

※通勤中の災害の場合は「療養給付たる療養の給付請求書」を提出。

■働けない間も「休業補償給付」が生活の補償となる

 仕事中や通勤途中にけがをして仕事を休むことになった場合にも補償があります。休業して賃金が支給されていない日が4日以上あれば、休業補償給付(通勤災害の場合は休業給付)が4日目以降から支給されるのです。
 
 給付されるのは、1日当たりの給付基礎日額(※)の60%、さらに休業特別支給金として20%が上乗せされ支払われます。

※原則、けがをしたり病気にかかったりした日以前の3カ月間に支払われた賃金総額÷3カ月間の総日数から出した1日当たりの賃金額。

■通勤中や会社にいる間でも認められないケースとは

 先に言ったように通勤途中の事故などでも労災保険は適用されます。ただし、仕事帰りに飲み会に出かけその帰りに事故にあった場合などは原則労災の適用は難しいといえます。また、通勤電車の中などでトラブルを起こし、けんかをしてけがをした場合なども認められません(病院へ行く、日用品を買う程度であれば、その買い物中などは認められませんが、その後通勤経路に戻った場合以降は通勤災害として認められます)。
 
 昼休みに外でご飯を食べに行ってけがをした場合は、労働基準法で休憩時間は労働者が自由に過ごしていいと定められているため、何か起こっても「私的行為」とみなされることが多いのです。そのため会社施設に欠陥があったなどの場合を除けば、労災が認められないケースが多いようです。

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労災保険はパート・アルバイトにも適用される