これらが果たして本物なのかはわからないが、そもそも甲子園の土を選手たち自らが売ろうと思うことはあるのだろうか。2016年夏に甲子園に出場した盛岡大付(岩手県)の石橋泰成さん(21)は「売ろうと思ったことはない」と話す。土はいまでも他の甲子園の出場記念の品と一緒に家に飾っているという。そして最近、その土が思わぬ形で役に立ったそうだ。

就職活動をしていたのですが、第一志望の企業の役員面接で、『人生で自慢できるものを1分間でプレゼンテーション』という課題がありました。土が入ったビンを持って、高校時代に野球に必死に取り組んだことをアピールしました。面接を担当された方々が興味を持ってくださったようで、その後内定をいただくことができました。土のおかげですね」

 はたして今年、阪神が全国の球児たちに贈る土は、どのようなドラマを描くのだろうか。(AERA dot.編集部/井上啓太)