今季から阪神でプレーするボーア(左)とサンズ(右) (c)朝日新聞社
今季から阪神でプレーするボーア(左)とサンズ(右) (c)朝日新聞社

 開幕から約1カ月が経過したプロ野球のペナントレース。今年も多くの新外国人選手が各球団に加入したが、ここまで期待通りの活躍を見せている選手もいれば、日本の野球に苦しんでいる選手もいる。成功か失敗かの結論を出すのにはもちろん気が早い時期ではあるが、ここまでのプレーぶりから各球団の新外国人選手について評価(A~Cの3段階)してみたいと思う。今回はセ・リーグ編だ。なお今年初めてNPB入りした新助っ人のみで、他球団から移籍した選手は除外し、支配下登録されている選手のみとした(成績は7月16日終了時点)。

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【巨人】

・サンチェス:B

メジャーに移籍した山口俊(ブルージェイズ)の穴を埋める存在として期待されて入団。初登板から2連勝を飾ったものの、その後は連敗を喫してここまで2勝2敗となっている。ストレートは150キロを超えるものの、数字ほどの力は感じられず、カットボールやスプリットなど小さく動く変化球が持ち味。韓国プロ野球時代から登板イニングは少なかったが、日本でもここまで最長で6回とその傾向は変わらない。ある程度の勝ち星は計算できそうだが、現状の投球では大きく貯金を作るのは難しそうだ。

・ビエイラ:C

160キロを超えるスピードが持ち味との触れ込み通り、初登板となった6月20日の阪神戦では161キロをマークして話題となった。しかし制球力には課題が残り、ボールの出所が見やすいフォームということもあって、ストライクをとりにいって痛打を浴びる場面が目立つ。決め球となる変化球も物足りない印象だ。いきなり変化球が向上するとは考えにくく、ストレートのスピードを生かす配球が重要になるだろう。

・ディプラン:C

昨年オフに育成選手として入団し、3月末に支配下登録となった。ビエイラと同様にスピードが武器のパワーピッチャーで、二軍では開幕投手を任せられて6回を投げて7奪三振、3失点とまずまずの結果を残した。明らかに上半身の力が強いフォームだが、意外に力みを感じないのは長所。二軍ではここまで12回を投げて8四死球とコントロールには大きな課題が残る。同じタイプのビエイラとの競争になりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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