■新たな治療薬の登場にも期待

 抗VEGF療法が効かない場合は、光線力学的療法(PDT)や、PDTと抗VEGF療法の併用療法をおこなうことも。PDTとは、新生血管に集まりやすい性質を持つベルテポルフィンという薬剤を点滴した上で、非常に弱いレーザーを照射し、新生血管をふさぐ方法だ。治療後、まれに視力低下が起こることがある。また、ベルテポルフィンは光に反応する性質も持つため、治療後数日は日光に当たることを避ける必要がある。

 現状の抗VEGF療法で効果が得られない患者にも、まだ希望はある。これまで、国内で使用されていた抗VEGF薬は、ラニビズマブ(商品名:ルセンティス)とアフリベルセプト(商品名:アイリーア)の2種類だったが、2020年にブロルシズマブ(商品名:ベオビュ)が発売された。

「新薬は、他の2剤より作用期間が長いため、注射の回数を減らすことができると期待されます。また、VEGFに加え、同じく新生血管の増殖に関わる血小板由来成長因子やアンジオポエチン-2を阻害する抗体を使用した薬剤の開発も進んでいます」(小椋医師)

「同じ抗VEGF薬でも、薬により作用が異なるため、新たな薬により、これまでの薬では効果が得られなかった人が改善する可能性も。さらに、数年経てばジェネリック医薬品が登場する可能性もあり、患者さんの経済的負担の軽減も期待されています」(飯田医師)

(文・出村真理子)

≪取材協力≫
東京女子医科大学病院 眼科教授 飯田知弘医師
名古屋市立大学病院 眼科教授 小椋祐一郎医師

※週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』より