■効果の持続には継続的な治療が必要

 治療のときは、仰向けに寝て、目を閉じないように専用の器具でおさえ、点眼薬で麻酔をおこなう。黒目から4ミリほど離れた白目の部分に脇から注射し、薬剤を注入する(イラスト参照)。多くの病院で、外来での治療が可能だ。

「治療後は、目の痛みや見え方の変化などがないか確認します。また、非常にまれではありますが、感染などの合併症が起こる可能性があるため、治療後数日は慎重に経過をみます」(飯田医師)

 眼球内に薬剤を注入するため、眼圧が上昇することがあり、緑内障がある場合は注意が必要だ。また、目に投与した抗VEGF薬の成分が、全身に影響を及ぼす可能性があり、脳卒中などの既往がある患者は、治療によるリスクとメリットを慎重に検討する。

 現在おこなわれている一般的な投与方法は、まず、1カ月に一度の注射を3回おこなう。その効果や目の状態などをみた上で、治療の頻度を2カ月や3カ月に一度などに調整していく。治療の頻度は患者により異なり、なかには休薬できるまで回復するケースもある。

 一方で、この治療法には課題もあると両医師は話す。いちばんの難点は治療費が高額なこと。健康保険が適用されても、1回の治療における自己負担額は2万~5万円となる。高額療養費制度などを活用することがすすめられる。

 そして、この治療は「一度で終わり」ではなく、継続が必要だ。

「抗VEGF薬は、新生血管の増殖を抑えることはできますが、一度できた血管を消すことはできません。薬をやめれば新生血管が増殖し始める可能性があり、視力を維持するためには治療を継続する必要があります」(小椋医師)

 また、残念ながら抗VEGF薬が効かない人もいる。

「効果が得られない人、効きが悪い(頻回な投与が必要な)人、継続して使用するうちにだんだん効かなくなる人なども含めて20~30%の人には十分な効果が期待できません」(飯田医師)

次のページ