■HoLEPは出血も再発も少ない

 HoLEPは、レーザーで、肥大した内腺と、その外側にある外腺を切り離して、内腺の部分をまるごとくりぬいて排出する。電気メスで切除するよりも術中・術後の出血が少ないのがメリットだ。また、どんな大きさの前立腺も適応になる。

「HoLEPは内腺をすべて切除するので、肥大症の再発はありません。術後、尿漏れが起こりやすいのですが、一過性のもので、術後1年たって尿漏れが残るリスクは1%未満に抑えられています。HoLEPの実績のある病院なら、術後出血のリスクもほぼゼロに近く抑えられるのではないでしょうか」(NTT東日本関東病院前立腺センター長の安部光洋医師)

 通常、手術時間は1時間弱、尿道カテーテルは術後3日目に抜くことができ、術後5日目に退院となる。

■PVPは抗凝固薬を服用中でも手術可能

 PVPは2011年に保険適用となった手術法だ。レーザーを用いて血液や水分の温度を一挙に上昇させ、組織を蒸散する。血管も蒸散させるため、出血が少ないのがメリットだ。そのため、尿道カテーテルの留置期間や入院期間は他の手術法と比べて短く、尿道カテーテルは手術翌朝に抜くことができ、その翌日に退院できる。ただ、一度の手術で蒸散できる組織量の上限が決まっているため、前立腺が大きすぎると残さざるを得ない。その場合は、TURPと同じように、排尿症状の改善を目標にする。再発率は10年で10%以下と考えられている。

「PVPは出血がきわめて少ないため、抗凝固薬の服用中でも、服薬を中断せずに手術ができるのがメリットです」(長久保病院理事長の桑原勝孝医師)

 19年には高出力のXPSという機種が保険適用になった。1回の手術で蒸散できる量が増え、再発率の低下が期待されている。また、16年には、同じくレーザーで組織を蒸散させる接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)も保険適用になった。現在、PVPは全国で約80施設、CVPは約40施設で受けられる。今後、普及が見込まれている。

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