■さらに変わった番線も?

 いまひとつ変わった例では、鹿児島本線の本駅にあった「0A、0B、0C」番線が知られている。鹿児島本線ホームからやや外れた位置にあり、1面2線のうち0A番線側の先端側に欠取式の0C番線があった。豊肥本線の発着に用いられていたが、2018年3月の高架化に伴い姿を消している。類似例は北陸本線の金沢駅でも見られ、こちらはおもに七尾線列車の発着に用いられていた。

 意外なところでは、東海道新幹線の岐阜羽島駅に0番線がある。かつて同駅を訪れたさいに「おや?」と訝ったのを思い出すが、同駅~米原間には冬期の難所である関ヶ原越えがあり、異常時に備えて設けられたと考えられる。通常は使われていないものの、旅客列車が入線した実績はあるようだ。

 現在、0番線は盛岡、北上、越後湯沢、高崎、辰野、米子などで現存。すでに改廃された例では、長崎や函館、姫路などを挙げることができる。

 このほか、0番線ではないがユニークな番線として、大阪駅には通常の1・2番線のほかに「環状1・2番線」があった(のちに「環状内回り・外回り」、2005年に1・2番線に変更)。また、姫路駅には西1番線(のちに0番線。姫新線)と東1~3番線(のちに31~33番線。播但線)など全国的にも珍しい番線が用いられていた。

 さらに「番線なし」の例も。JR・京成成田線の空港第2ビル駅はJRが1面1線、京成が1面2線ホームを持つが、JR側は番線なしとなっているのだ。京成は1面2線を成田空港側と上野側とで二分して運用しており、1~4番線がつけられ、両社の対照が面白い。

 ちょっと不思議な感じもする0番線だが、そのいわれをひも解くと、駅の歴史が垣間見られて興味深いものがある。ひょっとすると、さらに不思議な駅物件を見つけることができるかもしれない。(文・植村 誠)

植村 誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。