ところが、福嶋正信監督が「ポールを巻いていませんか?」と再確認を要請すると、4人の審判団は協議の末、最終的に球審が「本塁打」と判定。直後、松永はダイヤモンドを1周して勝ち越しのホームを踏んだ。

 すると、今度は安田学園・森泉弘監督が「ファウルだと確信したので、納得できません」と選手をベンチに引き揚げさせ、控え選手を通じてジャッジの説明を求めた。

 そこで、左翼ポールがよく見える一塁側ベンチ横で観戦していた控えの審判も加わり、5人で再協議したところ、「ファウルではないか?」という控え審判の意見が決め手となり、当初の「ファウル」判定で落ち着いた。

 とはいえ、協議のたびに二転三転する判定にスタンドも目を白黒。「リプレー検証はできないのか?」の声も出た。

 打ち直しとなった松永は、フルカウントから清水雅孝のカーブを見逃し、三振に倒れたが、試合は延長10回の末、小山台が6対4で勝利。判定では負けたが、試合には勝った。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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