打率4割台をキープしたまま、故障で途中離脱する不運に泣いたのが、17年の近藤健介(日本ハム)だ。

 開幕から47試合目、6月1日のDeNA戦で打率を4割1分5厘まで上げた近藤は、73年の張本勲(当時は日拓)の球団記録「46」を更新し、シーズン4割の期待もかかった。

 ところが、同3日の阪神戦で右太もも裏を痛めたのが、不運の始まり。8日後に登録抹消され、早期の1軍復帰を目指していたが、今度は数年前から苦しんでいた腰痛が追い打ちをかける。「腰部椎間板ヘルニア」と診断され、出場50試合、打率4割7厘のままリタイアする羽目になった。

 だが、9月28日の楽天戦で戦列復帰をはたすと、7試合で17打数8安打と打ちまくり、4割1分7厘でシーズンを終える。100打席以上(231打席)で4割台をマークしたのは、史上初の快挙だった。規定打席に達した18、19年も2年連続3割以上をマークし、「最も4割に近い男」と呼ばれるようになった。

 コロナ禍の影響で開幕が大幅に遅れ、シーズン120試合に短縮された今季は、規定打席も「372」とハードルが下がった分、打率を稼ぐには有利。この追い風に乗って、史上初の4割打者誕生なるか、注目したい。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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