川崎フロンターレで圧倒的な得点力を誇ったジュニーニョ (c)朝日新聞社
川崎フロンターレで圧倒的な得点力を誇ったジュニーニョ (c)朝日新聞社

 今年でJリーグ発足28年目を迎える日本サッカー界。その発展と拡大を語る中で1999年に創設されたJ2リーグが果たしてきた役割は非常に大きい。そして、J2から昇格したチームがJ1で旋風を巻き起こすことも珍しくなく、チームがより強くなるための通過儀礼の一つが「J2優勝」であるとも言える。では、その中で「J2最強」と言えるのは、どのチームだったのだろうか……。

 記憶に新しいのは、2014年の湘南ベルマーレだ。前年の2013年にJ1で16位(18チーム中)でJ2に降格した中で、就任3年目を迎えた曺貴裁監督の指導が浸透。後に日本代表に招集されるDF遠藤航、DF丸山祐市、MF永木亮太らを中心とした堅守とハードワーク、豊富な運動量をベースにしたアグレッシブな「湘南スタイル」で、J2記録となる開幕14連勝の快進撃から完全な独走状態。

 攻撃陣では1トップのウェリントンが20得点をマークし、2シャドーの岡田翔平(14得点)、武富孝介(9得点)も躍動し、史上最速となる9節を残しての自動昇格圏(2位以上)を確定させた。最終的に42試合で31勝8分け3敗の勝点101、86得点25失点で得失点差はプラス61という圧倒的な強さで優勝した。このチームをベースに、翌2015年にはJ1で8位と健闘。遠藤や永木らが他クラブに引き抜かれた2016年はJ2降格となったが、2017年に再びJ2優勝でJ1復帰を果たすと、2018年にはルヴァン杯優勝のタイトルを獲得した。この流れを作った2014年のチームには、若さと強さ、そして未来へのロマンがあった。

 2010年の柏も開幕から19試合連続無敗(13勝6分け)を記録するなど、圧倒的な強さを誇った。前年J1で16位(18チーム中)となり降格するも、主力が軒並み残留。2年目となったネルシーニョ体制の下、攻守が格段とレベルアップし、自慢のポゼッションサッカーが花開いた。新加入のMFレアンドロ・ドミンゲスが見事にチームにフィットし、FWの工藤壮人、田中順也、林陵平ら日本人の若手選手も次々にブレークを果たした。

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柏は翌年のJ1でも旋風を巻き起こす