もちろんツアーのこうしたデータは計測ホールでの数字なので、実際は上下動する。しかし、それでもアマチュアとの差がチャンプで約100ヤード、平均でも約77ヤードも違うのだから、いかにツアープロのゴルフの質が私たちアマチュアと異なるということがわかるだろう。

 最近では現在同ランク2位につけるブライソン・デシャンボー(米)が体重増量によるパワーアップに成功。ツアー再開初戦のチャールズ・シュワブチャレンジで一回りも二回りも大きくなった身体で登場すると、初日に平均345.4ヤードを飛ばし周囲の度肝を抜いていた。

 果たしてツアープロたちは、いつからここまでのビッグドライブを生み出すようになったのか。かつてはサム・スニード(米)、アーノルド・パーマー(米)、ジャック・ニクラウス(米)らレジェンドたちがゴルフ界を代表する飛ばし屋として知られていた。

 そして、公式サイトにデータがある40年前の1980年を見ると、トップは274.3ヤード。80年台前半はグレッグ・ノーマン(豪)、フレッド・カプルス(米)らが飛ばし屋として名を馳せたが、それでもその飛距離は270ヤード台後半だった。

 それが1990年代に入るとデービス・ラブIII(米)、ジョン・デーリー(米)あたりがロングヒッターの代表格となる。特にデイリーの飛ばしは規格外で、1991年に平均飛距離288.9ヤードで初のタイトルに輝くと、2002年までの12年間でタイトルを逃したのは1994年だけ。ロングヒッターと言えばデイリーだった。

 ラブIIIは、飛ばし屋として過小評価されていたプレーヤーの一人だろう。90年代はトップ10の常連で、デイリーがNo.1でなかった1994年に頂点に立ったのは、実はこのラブIII。他の飛ばし屋と異なり、流れるようなスイングで振り回すようなイメージはないが、実際のラブIIIはツアー仲間からも飛ばし屋としての評価も高かった。

 またタイガー・ウッズ(米)やフィル・ミケルソン(米)というトッププレーヤーも、その飛距離はデイリーやラブIIIに迫るもので、プロ入りから飛ばし屋として数えられていた。そして、2003年にデイリーから飛ばし屋の称号を奪ったのはハンク・キーニー(米)。その飛距離は平均321.4ヤードといきなり320ヤード台を記録する飛ばしっぷりだった。

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近年の“飛ばし屋”は距離だけではない?