さらに新宿区と渋谷区の住民団体などが、営団地下鉄(現・東京メトロ)に地下鉄13号線(現・副都心線)の早期建設を要望し、池袋~新宿~渋谷の混雑緩和を求めた。

 JR東日本は慎重に検討した末、1993年3月30日、埼京線新宿~渋谷~恵比寿の延伸を決定。運輸省(現・国土交通省)に申請し、承認された。

 線路自体は既存の山手貨物線を活用すればよい。しかし、渋谷駅ホームの位置に難航した。当時、山手貨物線の隣に東京急行電鉄(現・東急電鉄。以下、東急)東横線のホームがあり、山手線ホームと並列に建設することが不可能なのだ。

 そこで山手線ホームから南側約350メートル離れた貨物駅跡地(自社用地)に、埼京線ホームを建設することになった。“遠さ”という心理的な面を軽減させるためなのか、動く歩道を設けるなど万全を期し、1996年3月16日に開業した。このホームは2001年12月1日から湘南新宿ライン、2019年11月30日から相鉄・JR直通線の列車が停車するようになり、交通の要衝としてさらに発展してゆく。

■東急東横線の地下化で埼京線ホームの移設へ

 2008年6月30日、渋谷駅街区基盤整備検討委員会は、渋谷駅の再開発を発表し、埼京線ホームの移設が明らかにされた。2012年度に東急東横線列車を地下ホームの発着に切り替えた後、埼京線ホームを山手線ホームと同じ位置に移設できる運びになったのだ。ちなみに、東横線が移設する地下ホームは、発表半月前の6月14日に東京メトロ副都心線の駅(注、当時から東急管理駅)として先行開業している。

 2013年3月16日、東横線と副都心線との相互直通運転がスタート。その後、東横線地上ホームと東急百貨店の解体工事と並行して、JR東日本は渋谷駅の改良工事に着手し、2015年9月から本体工事に取り組んだ。

 埼京線ホームの移設工事は難航を極めた。山手線ホーム上には首都高速3号線と東京メトロ銀座線の渋谷駅がある。特に東京メトロは2009年から銀座線渋谷駅の移転工事に着手しており、2019年度の供用開始を目指していた(銀座線の2代目渋谷駅は2020年1月3日に供用開始)。さらに同じ高架ながら、山手線ホームは高い位置、山手貨物線はやや低い位置にあり、加えて土地が狭いため、重機も多く投入できない。

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渋谷の新しい街づくりも2027年度に完成予定