また、脱水や塩分バランスの崩れも発汗ができなくなる大きな原因です。熱中症を防止するためには、こまめに水分と塩分を補給することを忘れてはいけません。

 熱中症になりかけたときは、涼しい場所に移り、からだを氷などで冷やすと有効です。初期症状としては頭痛やめまい、倦怠感(けんたいかん)などが見られ、重症になるとけいれんや意識障害が起きて、最悪の場合には死に至ることもありえます。もし、意識がなければすぐに救急車を呼びましょう。

 こどもや高齢者、障害のある人は、体温調整がうまくできないことがあり、熱中症になるリスクが高いため、特に近くにいる人が注意してあげてください。

 熱中症対策は、自分でおこなうのが基本となります。みなが熱中症に対する正しい知識を持って十分な対策を取り、真夏のオリンピック・パラリンピックに向けて万全の準備をしておきましょう。

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松本秀男

松本秀男

松本秀男(まつもとひでお)/医師。専門はスポーツ医学。1954年生まれ。東京都出身。1978年、慶応義塾大学医学部卒。2009年から2019年3月まで、慶応義塾大学スポーツ医学総合センター診療部長、教授。トップアスリートも含め多くのアスリートたちの選手生命を救ってきた。日本臨床スポーツ医学会理事長、日本スポーツ医学財団理事長。

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