■コンテンツや運営方針

 マンボウ類についてのまとめサイトはいくつか存在するが、情報が古かったり、間違っているものが多い。特にマンボウの死因に関する都市伝説が2013~2014年に流行って以降は、なおさら間違った知見が普及してしまった。私はより正確なマンボウの知見を研究者以外の方々にも伝えたいと思い、同人活動を行ってきた。「マンボウなんでも博物館」公式サイトでは、基本的にマンボウ類の公表された文献に基づく最新情報を更新していこうと考えている。

 コンテンツは私の興味にやや偏ると思うが、「過去から現代まで、科学から芸術までマンボウ類に関する様々な情報を収集・蓄積・発信すること」をモットーに、分類、形態をはじめとして、生態、生理、行動、民俗、料理、薬、川柳、絵、音楽などなど、マンボウだけでこんなに語れるの?と驚かせるほど幅広いトピックを扱う予定なので是非遊びに来てほしい。マンボウの詳しいことならこのサイト!と認識してもらえるようになれば私は非常にうれしい。また私が知らないこともまだまだ多いので、読者からのマンボウ情報も大歓迎である。

 現在は単なるサークルであるが、近い将来、実物の博物館類似施設として運営していきたいと考えている。マンボウ類の標本を展示し、グッズも買え、食べられる世界に一つだけのマンボウのお店。どこまで実現できるかわからないが、需要があれば実現できると考えている。是非みなさまの応援、支援など声を聞かせてほしい。

■7月19日は「カクレマンボウの日」

 「マンボウなんでも博物館」公式サイトのグランドオープンを7月19日に設定したのには大きな理由がある。7月19日は、3年前、海外学術雑誌Zoological Journal of the Linnean Societyの論文で、カクレマンボウが125年ぶりのマンボウ属の新種として公表された日である。私はこの論文の第二著者で、自分の好きな分類群の学名に自分の名を刻むことができてとても嬉しかったことを覚えている。カクレマンボウの詳細が気になった方は、私がAERA dotに寄稿した3月5日の記事を読んでほしい。

 最近は世界ペンギンの日や世界ウミガメの日など、生き物系の記念日が話題になるようになった。しかし、マンボウ類の記念日はまだないようである。そこで私はカクレマンボウの新種論文が出版されたこの7月19日を、公式サイト開設と合わせて、「カクレマンボウの日」として記念日に制定したい。

 私はマンボウ類についていろいろ展開していきたいと考えているが、他の研究者も同じようにムーブメントを起こし、就職難に悩む専門家の需要を増やして、各研究分野が発展していく世の中になればいいなと思っている。
                         (文・澤井悦郎)

【主な参考文献】Nyegaard M, Sawai E, Gemmell N, Gillum J, Loneragan NR, Yamanoue Y, Stewart A. 2018. Hiding in broad daylight: molecular and morphological data reveal a new ocean sunfish species (Tetraodontiformes: Molidae) that has eluded recognition. Zoological Journal of the Linnean Society, 182: 631-658.