実は、巨人でヒゲを生やした日本人選手第1号は、屋鋪ではない。86年に西武から移籍してきた高橋直樹も、口ヒゲをトレードマークにしていた。

 日本ハム時代の79年からヒゲを生やしているが、そのきっかけは、なんと巨人だった。北海道遠征の際に、地元ファンは、巨人なら2軍の選手の名前も知っているのに、誰も日本ハムのエースだった高橋を知らなかった。

 そこで、「知名度をアップするには、何か特徴がないとダメだ」とヒゲを生やしはじめた。

 ヒゲが賛否両論を呼んで話題になると、“ある条件”で打たれたら「剃る」と宣言。7月12日のロッテ戦で有藤道世に1試合2本塁打を許した直後に公約を実行するなど、マスコミに数々のネタを提供しながら、“ヒゲ効果”で自身初のシーズン20勝を挙げた。

 あくまで“紳士の許容範囲内”という条件付きだが、巨人でもヒゲをトレードマークにする生え抜きのエースや主砲が出てきても、そろそろいい頃かも?(文・久保田龍雄)

●プロフィール

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

著者プロフィールを見る
久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

久保田龍雄の記事一覧はこちら