大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)
大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)

※写真はイメージです (Getty Images)
※写真はイメージです (Getty Images)

「人間は進化したら何になるの?」
「どうして、“わたし”は“わたし”なの?」

 発想豊かな子どもの疑問に大学教授が本気で答える連載「子どもの疑問に学者が本気で答えます」。子どもに聞かれて答えられなかった疑問でも、幼い頃からずっと疑問に思っていることでも、何でもぜひお寄せください。明治大学教授の石川幹人さんが、答えてくれますよ。第19回の質問は「空で半日ほど浮いていられたら、地球が回って簡単に海外旅行できますか?」です。

*  *  *

【Q】空で半日ほど浮いていられたら、下で地球が回って簡単に海外旅行できますか?

【A】浮いている人も地球と一緒に回転してしまうので原則ダメなのですが、ジェット気流に乗って行く方法ならありえます

 電車に乗っているときに、ジャンプしてみたことはありませんか?

「ジャンプしている間に車体は前に進むけれど自分は進まないので、ジャンプが終わって車体に着地したときには、ジャンプを始めた位置よりも後ろになるはず」

 そう考えて実際にジャンプしてみても、ジャンプした位置と着地した位置が同じでがっかりした人は多いでしょう。ジャンプしても移動しないのには、ふたつの理由があります。「空気の影響」と「初速度」です。

 まず空気の影響からお話しします。電車が走るときには、車体が前に進むだけでなく、その中にいる乗客(もちろん運転手や車掌もですが)や空気も前に運んでいます。だから、ジャンプをしても空気と一緒に前に運ばれてしまうのです。

 たとえば、車体に覆いがないトロッコ列車に乗っていると想像してください。その列車が高速で走ると、乗っている私たちに外から風が強く吹きつけて、手すりを握っていないと飛ばされそうになりますね。これは、車体と一緒にその中(列車の床の上方の空間)に存在する空気を運んでいないからです。そのときに先ほどのジャンプ実験をすると、空気の影響を受けて着地点は少し後ろに移動します。

著者プロフィールを見る
石川幹人

石川幹人

石川幹人(いしかわ・まさと)/明治大学情報コミュニケーション学部教授、博士(工学)。東京工業大学理学部応用物理学科卒。パナソニックで映像情報システムの設計開発を手掛け、新世代コンピュータ技術開発機構で人工知能研究に従事。専門は認知情報論及び科学基礎論。2013年に国際生命情報科学会賞、15年に科学技術社会論学会実践賞などを受賞。「嵐のワクワク学校」などのイベント講師、『サイエンスZERO』(NHK)、『たけしのTVタックル』(テレビ朝日)ほか数多くのテレビやラジオ番組に出演。著書多数

石川幹人の記事一覧はこちら
次のページ
ところが、列車の外からだと…