実際、伊藤さんの趣味は、図書館巡り。お金をかけずに書籍に触れ、知識を豊かにすることを楽しんでいる。お金をかけるだけが楽しいことではないと力説してくれた。

「専業主婦志向も一切ありません。夫に“専業主婦になってほしい”って言われたら、結婚していなかったと思います」

 家族に甘えられず、自然と自立を求められた人生。結果的に、この経験が伊藤さんの結婚への価値観を形作り、幸せに導いたといえるかもしれない。

 最後に、伊藤さんへ就職氷河期は“不幸”だったかを聞いてみた。

「当事者として言いたいのは、“マジムカツク”です。でも就活に限らず誰でも壁にぶち当たることはあります。今になってみれば自分を成長させてくれるいい機会になりました」

 終始明るく、ポジティブに話してくれた伊藤さん。前向きな言葉の一つ一つには、さまざまな困難を乗り越えたからこその“強さ”が感じられた。(取材・文=吉田みく)