「山田本人も松井や坂本勇人巨人)の内野守備を参考にしていた。自分自身のレベルとはかけ離れている、と語っていたこともある。守備に関しては、あまり自信を持っていないようだ」(前出ヤクルト球団関係者)

 移籍の決めてはやはり『お金』になる。世間的には巨人、ソフトバンクが有利と言われるが実際どうなるのか……。

年俸予算が底無しにあるわけではないが、出す時は出すのがヤクルト。衰えも見え始めたウラディミール・バレンティン(ソフトバンクへ移籍)と契約せず、山田と推定5億円の契約を結んだ。選手を見極め投資する。お金の部分でも最初から白旗ではない」

 スポーツ関連問題に詳しい経済誌記者は、力説する。

 01年、ヤクルトは日本一に輝き、オフの契約交渉では大判振舞い。ロベルト・ペタジーニと4.5億円で契約を結んだ。他にも、高津臣吾1.4億、古田敦也2億、宮本慎也1.4億、飯田哲也1億、真中満1.22億、稲葉篤紀1億と1億円超の選手が7人も誕生している(ちなみに当時の12球団最高年棒は、松井秀喜(巨人)の6.1億だった)。ヤクルトも健闘していたのだ。

 翌03年、ペタジーニは7.2億円で巨人に移籍するが、この頃は『金権野球』の全盛期。巨人は多額のお金を使い他球団の主力選手を根こそぎ集めていた。

「状況が大きく異なる」と前出の経済誌記者は続ける。

「当時は観客動員もテレビ視聴率も、マンモス級。親会社の読売新聞からもかなりの補強費が出ていた。だが近年は新聞業界が斜陽であり、巨人に対する経済的支援は少なくなった。ソフトバンクも年明け早々、親会社が本業での大規模赤字を発表した。両球団とも制限なく投資できる状況ではない」

 FAでの獲得には、年俸に加えて金銭補償なども含まれる可能性があり、かなりの金額が必要となる。山田がFA宣言すれば手は挙げるだろうが、莫大な金額提示は不可能な状況かもしれない。

「ヤクルトはお金がないと言われるが、経営状態は良好。神宮球場特需も加わり、ここ数年は経営的にホクホクです」

 山田引き止めの軍資金について心配はない、とはヤクルト担当記者。

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他にも“残留”の要素になりそうなものも