攻守ともに評価が高い日大藤沢の捕手・牧原巧汰 (c)朝日新聞社
攻守ともに評価が高い日大藤沢の捕手・牧原巧汰 (c)朝日新聞社

 選抜高校野球、全国の春季大会(沖縄では準々決勝まで実施)、そして全国高校野球選手権と春から夏にかけての主要大会が軒並み中止となった今年の高校野球。例年であれば冬のトレーニング期間を経て一気に多くの選手が成長した姿を見せる時期だが、その機会は全国で行われる代替大会と選抜大会出場校が参加する甲子園での交流試合のみとなった。

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 ドラフト戦線という意味では投手であれば中森俊介(明石商)、高橋宏斗(中京大中京)、小林樹斗(智弁和歌山)、野手であれば井上朋也(花咲徳栄・三塁手)、小深田大地(履正社・三塁手)、中山礼都(中京大中京・遊撃手)、土田龍空(近江・遊撃手)、細川凌平(智弁和歌山・遊撃手)、西川僚祐(東海大相模・外野手)、来田涼斗(明石商・外野手)といった甲子園、もしくは明治神宮大会出場経験者が中心となりそうだが、それ以外にも楽しみな選手は少なくない。そこで今回はまだ全国の舞台には立っていないものの、最後の夏に大ブレイクが期待される高校生ドラフト候補を紹介する。

 まず投手では1月に中日が1位候補として名前を挙げた高田琢登(静岡商)の注目度が高い。県内では中学時代から評判のサウスポーで、高校進学後も下級生の頃から主戦として活躍。バランスの良いメリハリのあるフォームから投げ込むストレートはコンスタントに140キロ台をマークし、サウスポーらしいボールの角度も光る。左投手では筆頭候補といえるだろう。

 同じ東海地区のサウスポーでは上田洸太朗(享栄)も注目の的だ。184cmと大柄ながらフォームに引っかかるようなところがなく、体の使い方が上手い。スピードは140キロ前後だが数字以上に勢いを感じる。高校生サウスポーにありがちな荒れたところが少なく、コントロールにまとまりがあるのも特長だ。

 右投手では小牟田龍宝(青森山田)、伊東邑航(いなべ総合)、山下舜平大(福岡大大濠)、川瀬堅斗(大分商)などが有力候補。小牟田は2年時から先輩の堀田賢慎(巨人)とともに主戦として活躍。秋は故障で外野手登録だったものの、この春には150キロまでスピードアップしたと伝えられている。投手らしい体つきでシャープな腕の振りが魅力だ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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