その最大の一つが「評価される人間像が変わり、人間の本質が問われる時代になった」ということです。

 苦しい状況が続き、人々は本当に正しい情報を探し求め、人々の行動を厳しく見るようになりました。苦境のなかで、その人がどういう振る舞いをするのか。人間の素の姿があらわとなり、それが厳しく吟味されるようになったともいえます。

 オンラインでのコミュニケーションも加速したことで、直接会うことで有効だった、接待やゴマすりなどテクニックや慣習が通用しなくなってきています。今後も、オンラインだからこそ見出される人間の本質や能力、そしてそれに基づいた行動を人々が見るようになり、その流れは一気に広まることでしょう。

 ただ、悪いことばかりではありません。結果として、今まで評価されなかった才能や信念が評価され、愚直で本当に力のある人が伸びていく時代になってきたのではないかと思います。

 とはいえ、言葉使いや態度などを人によって使い分けることは、テクニックとして完全になくならないとは思います。

 そういう人と接するとき、あるいは自分がそんなテクニックだけの人間にならないようにするためには、どうしたらいいのでしょうか。

 答えはシンプルで、それは「自分の軸を持つこと」です。

 自分が何を大切にしているのか。譲れないことは何か。自分の一番の目的は何か。それに基づいて、誰に対しても謙虚に誠意を持って、親切に「与え助ける」気持ちを持つこと。こうした振る舞いが継続的にできるように、自分の能力を常に磨き、社会に価値を生み出せるようにしておくことが大切です。

 こういう人は今まで煙たがられたケースもありましたが、本質が求められる時代では、たとえ癖があったとしても、処世術がうまい人だけの人よりもずっと必要とされるはずです。

 自分ならではの軸をしっかり作って、他人の評価などを気にせず、人を助け人に与え、それを継続的にできるように自分の価値を作っていく。実は、こういう姿勢を相談者であるあなた自らが実践することが、「人によって態度を変えるような人」を変えていくことにつながります。

次のページ
いつか自分に跳ね返ってくる