中日で飛躍が期待される左腕の小笠原慎之介 (c)朝日新聞社
中日で飛躍が期待される左腕の小笠原慎之介 (c)朝日新聞社

「左を制するものは世界を制す」

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 ボクシングでの有名な格言は、野球にも当てはまる。金田正一、江夏豊、鈴木啓示、工藤公康……。飛び抜けた実力を誇るサウスポーの存在が勝敗を大きく左右してきた。

 それは戦術など野球スタイルが大きく変化した現在も変わらない。特に今年のセ・リーグは左腕のデキが勢力図を大きく変えそうだ。

 自らもサウスポーとして広島、巨人で活躍した川口和久氏がセ・リーグ各球団の左腕投手事情を語ってくれた。

「左投手の存在感が高まっているのはセ・リーグ。サウスポーを先発に揃えるのか、中継ぎや抑えに揃えるのかでは戦い方も変わってくる。各チームのゲームプランを知る上でも左投手の使い方を見るのはおもしろい」

 各球団の事情によって左投手の役割は大きく異なってくる。

 昨年までは中継ぎに信頼ある左投手を置いていたのが巨人。

「巨人は東京ドームを本拠地にしていて投手戦になることは稀。先発も早めに打ち込まれることもあるため、中継ぎに左の田口麗斗を置いて多くの試合を任せた。以前は先発を任せていたが、チーム内でのゲームプランが変化した。先発なら年間25試合くらいの登板だけど、ブルペンならその倍は投げられる。今年は先発をやりそうだから、どう変化するか楽しみ」

 エース菅野智之、山口俊(ブルージェイズ移籍)の2本柱はいたものの、その他の先発投手に不安があった巨人。そのため信頼できる田口に第2先発的な役割を任せている(阪神との開幕第2戦で先発)。中継ぎでフル回転していた田口が、先発に回ってどうなるかに注目している。

 同じようにブルペンに信頼できる左を置くのが阪神だ。

「能見篤史を先発から後ろに回したのがハマった。もちろん年齢的なものもあったのだと思うけど、大崩れしない投手がいるのは大きい。また同じ左ではスタミナのある岩崎優もいる。右投手も充実していて、抑えの藤川球児につなげる形はできた。左の岩貞祐太や高橋遥人が結果を出せれば、投手陣のバランスは抜群」

 昨年の阪神CS出場は決してタナボタではない。左投手を軸に作り上げたブルペン陣の力は大きく、今年も期待できそうだ。

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