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暴力をふるった父親への憎悪…悩む20歳女性に鴻上尚史が伝えた「はっきりしていること」

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

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 小さい頃から暴力をふるってきた父親への憎悪に苦しみ、その感情へどう折り合いをつければいいかと悩む20歳女性。親の心ない言動に苦しむ相談者たちに、鴻上尚史が何度も伝えてきた言葉とは?

【相談71】父親への憎悪を持て余しています(20歳 女性 カナコ)

 父親への憎悪を持て余しています。父は小さい頃から躾で手を上げる人でした。何度も言われているのに忘れてしまう私が悪いのですが、それでも恨む気持ちは抑えきれません。まだ保育園の頃、鼻炎のため家で一番ティッシュを消費する私が何度言っても鼻をかむ前にティッシュを四つ折りにしない事に激怒した父が、私の髪を掴んでティッシュのある所まで引き摺って行き、「鼻のかみ方を教えてやる!」と怒鳴ったのを10年以上経った今でも覚えています。父が私にビンタする前、歯を食いしばり腕を大きく振りかぶりながら目をギラつかせている姿も簡単に思い描けます。元ラグビー部の成人男性から暴力を受ける5歳児なんて、この世に存在してほしくありません。

 10歳の時、母を通じて「もう叩かないし怒鳴らない」と約束をしてくれました。舞い上がった私は家族の中で一番父に好かれている母の真似をしました。母にイジられてデレデレしてる時に、今だ!と思って私も乗っかったところ、先ほどまで笑っていたのにスッと真顔になり「俺は奥さんは自分で選んだけど、お前の事は選んでないからな」と言われました。これも父を憎む原因の一つです。家族の中で父だけは好きと言えない自分に罪悪感を抱いていたため、父と仲良くなりたかったのに当の本人から拒まれたわけです。愚かにも私はあの時、本気で母の真似をすれば父はきっと喜んで、私の事も好きになってくれると思っていました。現実はお前なんかいらないと言われたようなものですが。

 何より腹が立つのは、数年前会話の流れでこの事を指摘したら「いやそれは違うじゃないか」と言い出すのです。お説教中、私が「ハイ」と「ごめんなさい」以外に何か言おうものなら即座に「言い訳するな!」と怒鳴っていた男が、自分はたらたらと言い訳しやがる。それで嫌になって部屋を出ていこうとすると「ほらな、俺がアイツを理解しないんじゃない。アイツが俺と向き合おうとしないんだ」と。あんまりムカついたので、回れ右して思ってる事全て話しました。こんな事を言っていつ叩かれるか分からない恐怖に体が震えて縋りついた机も揺れ、机の上でペンが陸に上がった魚みたいになってたのが場違いに滑稽でした。途中、過呼吸を起こしながらもどうにか嫌だった事全部伝えた結果が、「それで、俺にどうしてほしいわけ?」。父からすればいきなり10年も前の事でクレーム付けられたわけですし、父だって私を立派に育てるべくやった事です。嫌っといて何ですが、良かれと思って躾したのに娘に逆恨みされて気の毒になぁと思います。それにしたってこれだけボロボロの娘を見て第一声が「それで?」かよ……と心底絶望しました。向き合おうとしないと言われてムカついたから、なら向き合ってやろうじゃねぇかと思いの丈をぶちまけただけで、どうしてほしいとかまでその時は考えていませんでした。


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