藤澤康弘医師(左)、吉野公二医師(右)。※がんの手術に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から回答を得た結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。同ムックの手術数ランキングの一部は特設サイトで無料公開。「手術数でわかるいい病院」
藤澤康弘医師(左)、吉野公二医師(右)。※がんの手術に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から回答を得た結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。同ムックの手術数ランキングの一部は特設サイトで無料公開。「手術数でわかるいい病院」
メラノーマのできる部位(週刊朝日2020年6月26日号より)※がんの手術に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から回答を得た結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。同ムックの手術数ランキングの一部は特設サイトで無料公開。「手術数でわかるいい病院」
メラノーマのできる部位(週刊朝日2020年6月26日号より)※がんの手術に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から回答を得た結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。同ムックの手術数ランキングの一部は特設サイトで無料公開。「手術数でわかるいい病院」

 皮膚がんのなかでもメラノーマは悪性度が高く、治療が遅れればリンパ節や内臓に転移する。だが、近年では免疫チェックポイント阻害薬をはじめとする薬物療法の進化で、治療成績が向上してきた。メラノーマの特徴や最新の治療法を紹介する。

【イラスト図】身体のどこにできる?悪性度が高い皮膚がんのメラノーマ

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 メラノーマ(悪性黒色腫)は代表的な皮膚がんの一つで、メラノサイトという部分ががん化してできる。基底細胞がんや有棘細胞がんほど患者数は多くないが、皮膚がんの約12%を占める。

 メラノサイトはメラニン色素を産生している。しみの原因になるが、紫外線によるダメージから皮膚を守る働きをもつ。白人はメラニン色素が少ないため、紫外線を防ぐ機能がアジア人に比べて低い。そのため、日本人のメラノーマの罹患率は10万人あたり1~3人だが、オーストラリア人では日本人の数十倍になる。

 メラノーマは皮膚に限らず、メラノサイトがあるところなら、どこにでもできる。頻度は低いが、目の結膜、鼻や口の中の粘膜、尿道、肛門の入り口などが挙げられる(イラスト参照)。

 白人では、体幹などにできる表在拡大型が大部分を占める。一方、日本人における表在拡大型は約3割にとどまり、末端黒子型と呼ばれる、足の裏や爪などにできるタイプが約4割を占める。表在拡大型の発症には紫外線が大きくかかわっているが、末端黒子型の原因はまだ明らかになっていない。足の裏の病変は気づきにくく、発見したときにはすでに転移があるケースも少なくないという。

 メラノーマは60代以降に増えるが、20代、30代の若い世代にも発症のピークがあることも特徴的だ。

 メラノーマの多くは、黒いほくろのような外観をしている。病変のふちがぐにゃぐにゃと曲線を描き、よく見ると複数の色が混ざった色調をしている。爪のメラノーマは、爪を縦に走る黒い筋で見つけられる。いずれも痛みやかゆみなどの症状はない。基底細胞がんや有棘細胞がんに比べて悪性度が高く、リンパ節や、肺、脳、肝臓などのほかの臓器に転移する。

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転移のリスクは?大きさよりも気にすべきは…