一方、海外でいま注目されているのが、中国のベンチャー・Infervisionだ。15年の創立以来、北米や欧州などに進出。日本でも慶応義塾大学病院など複数の機関と共同研究をおこなっている。

 同社の提供する「InferRead CT Lung」は肺のCT画像を分析し、病変がある箇所をハイライトする。日本にあるアジア太平洋支社の代表取締役社長・周氏は、「過去の画像と現在の画像の変化を表示できる」ことを特徴として挙げる。

「病変の様子の変化を見ることで、医師は自身の治療の成果を評価することができます」(周氏)

 また同社がいま注力しているのが、「InferRead CT Pneumonia」だ。肺炎を検出するAIだが、完成直後に新型コロナウイルスが発生。武漢の病院からデータ提供を受け、迅速に改良が進められた。中国ではすでに臨床で利用されており、感度98・32%、特異度81・72%と、高い精度を誇っている。6月3日には日本での販売承認が下りたばかり。国内で販売される画像診断AIのメーカーは、これで三つ目だ。

「CT画像をAIで検査したうえで、PCR検査による確定診断をするという流れが理想だと考えています」(取締役副社長・郭氏)

(文・白石圭)

※週刊朝日MOOK「新『名医』の最新治療2020」より