もし加入したくない場合は、時間数を減らして、週20時間未満とするしかありません。そうなるとやはり手取りは減るので、短時間ではなくもっと働こう!という選択も出てくるかもしれません。一方、事業主は社会保険料の負担は大きく増加するため、特に中小企業では苦しくなるところが出てくる可能性はあります。

※1 厚生労働省 「厚生年金保険・国民年金事業の概況」 (2020年1月現在)

※2 厚生労働省 「被用者保険の適用拡大について」

■「在職老齢年金」の見直しで、働く60~64歳の収入増も

(2022年施行予定)

 年金の受給間近、いま年金を受給している世代でも今回の改正が関係してきます。直接関係する世代の人はもちろん、親の世代が関係するという人も、本人が知らない場合もあるので基本的なことをある程度は頭に入れておくとよいでしょう。

 大きい変更点は、60歳から64歳の在職老齢年金の支給停止基準額が28万円だったのが47万円に引き上げられることです。

 在職老齢年金とは、会社に勤めながら年金を受け取っている人が対象となるもので、現在は総報酬月額(月の賃金など)+老齢厚生年金の受給額の合計が28万円以上となると年金額の一部、または全額が停止されてしまいます。

 これが、2022年4月から47万円まで認められるようになります。65歳以上では現在すでに47万円になっており、これは今回の改正でも変更はありません。

 今まで、現役と同じように元気で働ける高齢者は、年金は支給停止、保険料は変わらず引かれる……と何もよいことがなかったため、年金との調整で、働き方を抑制していたという人も多くいました。

 これが今回の改正で、しっかり元気に働く高齢者には大きな改善となります。在職老齢年金支給停止基準額が47万円まで引き上がるので、給与をもらいながら年金も支給停止されずにもらえる人が増えます。また、「定時改定」制度が導入となり、今まで退職時または70歳のときにのみ年金改定が行われていたのが、毎年改定となることで、毎年働いた分の年金が増えることになります。

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年金受給開始年齢が改正でどうなるの?