現在の短時間労働者の社会保険適用の条件を一覧にすると以下のようになります。

【現在の短時間労働者の社会保険適用条件】
●常時社員501人以上の企業(適用事業所)に勤めている
●雇用期間が1年以上見込まれる
●週の所定労働時間が20時間以上
●賃金の月額が8万8000円以上
●学生ではないこと
※社員500人以下の企業であっても、労使合意があれば適用となります。

 このうち、上の2つの条件が大きく変更されます。
【改正での変更点】
●常時社員501人以上の企業 → 101人以上(2022年) → 51人以上(2024年)
●雇用期間が1年以上 → 2カ月以上(2022年)

 社員51人以上となると、小規模な製造業や販売業などかなりの数の事業所で適用されることになり、また雇用期間も2カ月以上となることで適用者が相当数増えるのは間違いありません。

 厚生労働省の発表によれば、現在、社会保険が適用されている短時間労働者は約47万人(※1)ですが、これが101人以上で新たに約45万人増、51人以上だと約65万人が対象になるとされています(※2)。社会保険が適用される短時間労働者が110万人を超えるという予想です。
 
 国民年金のみに加入していた人にとっては、さらに厚生年金にも加入することになり、また国民健康保険から健康保険へ切り替わることにより、保障を充実させることができます。

 社会保険料は会社が半分負担してくれます。これにより将来の年金額が増えるので、老後のリスクが減るのは間違いありません。また、病気などで働けない場合は健康保険から傷病手当金が、障害を負った場合には、障害基礎年金に加えて障害厚生年金を受け取れ、死亡した場合は、遺族は遺族厚生年金を受け取れます。

 ただこれは強制適用ですので、会社と折半とはいえ毎月の給料から天引きで保険料を新たに払うことになります。「保険料が高いから(手取りが減るから)入らない」ということはできません。要件に合致すれば必ず加入となります。

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