(図1)創業当時に使っていた位置情報アプリ。誰がどこにいるのかがわかるが、女性社員の入社を機に利用をやめた。(写真は本人提供、以下同)
(図1)創業当時に使っていた位置情報アプリ。誰がどこにいるのかがわかるが、女性社員の入社を機に利用をやめた。(写真は本人提供、以下同)
(図2)お客様からの問い合わせ件数の推移
(図2)お客様からの問い合わせ件数の推移
(図3)メンバーの活動内容。それぞれが業務内容を更新する
(図3)メンバーの活動内容。それぞれが業務内容を更新する
豆田裕亮さん
豆田裕亮さん

2011年からリモートワークを続ける豆田裕亮さん。企業にマニュアル作成・共有プラットフォームを提供する「スタディスト」の創業で、地方を飛び回る業務スタイルから、東京と福岡の2拠点生活を経て、現在はタイ法人で働く。9年間のリモートワークで培ったスタイルが、ロックダウン下でも生きた。

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■週4日は地方でホテル生活 マメな発信がリモートのカギ

 豆田さんがスタディストに参加した2011年、社は製造業向けのコンサルティングを行っていた。豆田さんを含む6人のメンバーは、それぞれのクライアントに出向き、工場などの業務改善を行う。クライアントは地方の製造業が多かったので、月に数回だけ出社し、それ以外は全員がホテル生活を送った。

 それぞれが個人事業主のように働く傍ら、チームとしては、現在の主力サービスの開発をしていた。遠くにいながらも、オンラインのチャットツールを使って「こんな機能が必要」「これは使いづらい」などの議論を続けた。いわゆる、リモートワークの走りだ。

 コミュニケーションは「とにかく投稿する」が基本。
「会えばすぐに終わる話も、“会えない”がベースだと投稿せざるをえない。手段がひとつしかないと、やるものです」
 コミュニケーションは量とマメさが必要。もちろん、意見の質や相手の状況を想像することも必要だが、一定の発信はリモートワークの基本姿勢なのだ。

■察して連絡せず 自立と信頼が基本姿勢

 メンバー全員から同意を得られたこともあり「位置情報アプリ」も使ってみた。メンバーの居場所が地図上に示されるサービス(図1)で、24時間・365日、誰がどこにいるかが分かる。それぞれを管理することが目的ではなく、豆田さんもその効果を「おじさんの居場所がわかる程度」と評するが、この使い方にもリモートワークの基本姿勢が見える。

 例えば、待ち合わせ場所でメンバーが見当たらない場合。メールで「どこにいるの?」と聞くのもいいが、まずはアプリを開いてみた。アプリ上で「おじさん」が近寄っているのが見えたら「ああ、来てるな」と察し、特段の連絡はしない。また、休日でもないのに、なぜかメンバーのひとりが自宅にいる場合。「子どもになにかあったのかな」と想像し、同じく特段の連絡はしなかった。

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信じるマネジメントの大切さ