大変なのは僕だけじゃなく、息子だってそうなんだよなと。一緒に苦難を乗り越えると、より僕への信頼が厚くなってることに気づけました。

 息子が生まれて一年たってから、僕はまた仕事を全力でやり始めました。仕事して、夜はご飯行ったり、お酒を飲みに行ったり。夜中に帰ってくることもしょっちゅう。その中で、僕なりにできることはやっているつもりでした。妻と保育園の送りを手分けしたり。自分の中で時間を見つけて笑福と遊ぶ時間を作ったりと。

 0歳から1歳の時の1年は大きく、そこに自信を持っていたりしましたが、コロナで家にいるようになり、この数年を大きく反省しています。       

 笑福と遊ぶ時間を「見つけて」、一緒に遊んで、自分なりに育児をしているつもりでしたが、全然できてなかったなと思っています。

 ずっと家にいると、母親のやるべきことが全部見えてきます。掃除洗濯、食事だけじゃなく。

 細かいことの一つ一つ。息子の飲む麦茶を作ったりするのも時間がかかるし、とにかくめちゃくちゃたくさんある。
 
 僕は家でリモートの仕事しながらも、横に笑福がいて、何げない時間をたくさん過ごす。今までは「時間を見つけて遊ぶ」。だけど、何げない時間を一緒に過ごせることが、とてつもなくぜいたくで大切であることにあらためて気づけました。

 この数年で、自分で捨てていた大切なものを、一つずつゆっくり拾っているような、そんな時間でした。忙しい日々で過ごしていると、大切なものを捨てていたり、知らずのうちに人を傷つけていたり。そんなことにも気づけてなかった。世の中は少しずつですが、元に戻り始めています。完璧に前の様には戻らないのかもしれない。

 でも、この2カ月間で気づけたことを守れるように、自分の生活も大きく変えるチャンスなのだと思っている、今日。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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