サザエさんでもドラえもんでも、テストで悪い点をとって叱られるシーンが何度も出てきます。勉強をまったくしなかったならば、仕方ないと思いますが、勉強をしたのに悪い点をとったことに対して、叱るような風潮はいかがなものかと思います。そんなところから、子どもは、「間違いはしてはいけないもの」と、脳に刷り込まれてしまうのではないでしょうか。

■テストをする、本当の意味を考えてみる

「テストの点数が低いのはよくないことだ」と常識のように思い込んでいる親は、周囲の価値観に引っ張られて、テストの意味を履き違えているように思います。

「入学試験」は点数の高さで合否を決めるのでまた別物ですが、学校や塾での一般的なテストの定義は「何を知り、何を学んだかを測定するもの」です。つまり、自分がわからなかった、あるいはアウトプットできるほど理解していなかった箇所を、自分ではなく別の人による質問を通して、明らかにしていくための「道具」なのです。

 学校で行われたテストの点数が低ければ怒り、高ければ喜ぶ。一喜一憂するだけで終わらせるなら、果たしてそのテストになんの意義があるのでしょう。

 大切なのは、点数ではなく、間違えたところを見直し、理解していない箇所を一つ一つつぶしていくことだと思います。もし90点をとれても、間違えた10点を放置したままでは、得るものは何もありません。既に理解していることをただ紙に書いただけで、単なる時間の浪費とも言えます。間違えた10点の箇所こそが、真に目を向けるべきところなのです。
 
 私は大学受験のときに予備校や塾に行きませんでした。「行ったら復習する時間が取れない」と判断したからです。学校で授業を受けた後、その足ですぐに予備校に向かい、さらに夕方まで授業を聞く。そのまま家に帰れば、もはや脳は疲れ切っているでしょう。

 ご飯を食べてお風呂に入って、疲弊した脳の最後の力を振り絞って次の日の学校の宿題をやれば、一日が終わってしまい、あとは寝るだけになってしまいます。そんな日々を過ごして、志望大学に合格するために必要な分のインプットとアウトプット、そして復習の時間が、ちゃんと取れるとは思いませんでした。
 

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