「表現の自由を尊重すべきだと感じている人が一定数いるはずですが、多くの人がコロナに苦しめられている状況では、その発言がしづらいと感じるわけです」

 津田さんも古田さんも口をそろえるのは、ネット上で意見を書き込む人は全体からすればごく少数だということ。必ずしもそれがリアルな世論と一致するとは限らないということだ。

「ネットに政治的な意見を書き込む人はごく少数です。例えば憲法9条に関するたくさんの意見のうち半分は、人数ベースで0・23%の人によって書き込まれているというデータがあります。0・23%の人が書き込んだ意見を、世論とは呼べませんよね。書き込まない人たちが大半を占める中、それでも書き込む人は強い意見を持ち、誰かを極端に支持したり、批判したりする人が多い。その時々の事象に合わせて、そのうちの一方の意見が目立つのがいわゆる『ネット世論』の特徴です」(古田さん)

 では、どうして少数の極端な意見がネットでは「世論」のように見えてしまうのか。津田さんは次のように分析する。

「悪意を持ってバッシングをしているのは利用者の0・5%と言われています。ツイッターの利用者だけでも国内に約4500万人います。そのうち0・5%がバッシングをするとしても、22万人いるわけです。たとえ0・5%でも、この規模でバッシングを受けたら、かなり多いと感じるでしょう。割合で言えば世の中全体の一部でしょうが、集中すると、それが世の中の意見であると過大にとらえてしまいがちでなのす」
 
(AERAdot.編集部/飯塚大和)