大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)
大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)

気持ちよさそうに眠っている著者の愛猫マリリン(著者提供)
気持ちよさそうに眠っている著者の愛猫マリリン(著者提供)

気持ちよすぎて、ちょっと変な格好に…(著者提供)
気持ちよすぎて、ちょっと変な格好に…(著者提供)

「人間は進化したら何になるの?」
「どうして、“わたし”は“わたし”なの?」

【気持ちよさそうに眠っている著者の愛猫マリリンの写真はこちら】

 発想豊かな子どもの疑問に大学教授が本気で答える連載「子どもの疑問に学者が本気で答えます」。子どもに聞かれて答えられなかった疑問でも、幼い頃からずっと疑問に思っていることでも、何でもぜひお寄せください。明治大学教授の石川幹人さんが、答えてくれますよ。第17回の質問は「なんで眠らないと生きられないのか?」です。

*  *  *

【Q】なんで私たちは眠らないと生きていけないの?

【A】私たちは眠らないと生きていけないのでなく、起きないと生きていけないのです

 宿題が終わっていないのに眠くなると、「起きている必要があるのに、なぜ眠くなってしまうのか」と、イライラしますね。一方で、すぐにやるべきこともなく、ごろごろと寝ていられると、幸せな気分になるものです。

 生き物は一般に、食べ物が足りていて安全ならば寝ています。そのほうが、エネルギー消費が少なく済むので、生きていくのに効率がいいからです。

 たとえば、家ネコは1日20時間くらい寝るので、“寝子”と呼ばれるほどです。我が家のネコ「マリリン」も、食事以外の時間はほとんどグダーっと日なたぼっこしています。夜は暗くなるとひと騒ぎしますが、そのあとはまた眠ってしまいます。ネコが夜にひと騒ぎするのは、ネズミなどの夜行性の小動物を狩って食べていたころの名残です。今では「もう狩りは必要ないので、寝るか」となっているのです。

 植物に至っては、1日中寝ているようなものです。太陽の光を浴びて自分で栄養を作れるので、動きまわる必要がないのです。

 つまり、生き物は本来「寝ているもの」なのです。むしろ、「自分で栄養を作れない動物は“仕方なく”食べ物を求めて起きるようになった」とも言えます。だから食べ物が足りてくれば、眠りに落ちるわけです。あなたが、食後眠くなるのであれば、動物らしい本能に従っていることになります。

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石川幹人

石川幹人

石川幹人(いしかわ・まさと)/明治大学情報コミュニケーション学部教授、博士(工学)。東京工業大学理学部応用物理学科卒。パナソニックで映像情報システムの設計開発を手掛け、新世代コンピュータ技術開発機構で人工知能研究に従事。専門は認知情報論及び科学基礎論。2013年に国際生命情報科学会賞、15年に科学技術社会論学会実践賞などを受賞。「嵐のワクワク学校」などのイベント講師、『サイエンスZERO』(NHK)、『たけしのTVタックル』(テレビ朝日)ほか数多くのテレビやラジオ番組に出演。著書多数

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1日中起きていられないのはなぜ?