当時の飛ばし屋の代表格は尾崎、そして弟の尾崎健夫で、1995年のドライビング・ディスタンスはジャンボが287.66ヤードで首位、2位が尾崎健の283.18ヤード。これに加瀬秀樹や川岸良兼ら体格に恵まれたパワーヒッターが続くという構図だった。

 飛ばしと言えば、こうした大型選手の代名詞のようだったが、そんなイメージを払拭したのが伊澤利光だ。2000年前後に国内トッププロとして君臨した伊澤は、2001年、2003年と2度の賞金王を獲得した他、2001年にはマスターズで当時日本人最高の4位タイとなっているが、トレードマークとなっていたのはアーノルド・パーマーが「キング・オブ・スイング」と評価していた美しいスイングだ。

 身長169cmと小柄ながら、流れるようなスイングで屈指のロングヒッターとしても高い評価を受けていた。実際のところ、1999年と2000年にはツアーの飛距離ランクでそれぞれ2位、3位。日本人の平均的体格に近い伊澤の飛ばしは、アマチュアにも大きな夢を与えたはずだ。

 そして伊澤とともに2000年代初頭から中盤の飛ばしをリードしていたのが小田龍一と小山内護だ。小田は2002年に日本人で初めて平均飛距離300ヤードを超える300.45ヤードでドライビング・ディスタンストップを獲得。翌年も平均飛距離303.53ヤードで首位となった。そして小山内は小田と入れ替わるように2004年から飛距離ランクで3連覇。2004年には平均飛距離306.82ヤードを記録しているが、この平均飛距離は、現在も日本人歴代2位という数字だ。

 2009年になると、現在も飛ばし屋として定評がある額賀辰徳が平均飛距離302.79ヤードでランクトップとなる。額賀は2010年、2012年、2015年、2018年とこれまで合計5回もこの部門でタイトルを獲得しており、これはツアー最多レコードだ。

 その額賀の牙城を崩したのが昨年のこの部門でC・キム(米)に次ぐ2位となった幡地隆寛だ。昨年が初のツアーフル参戦で惜しくも賞金シード落ちしたが、その飛距離は平均315.30ヤードで日本人歴代最高。他日本人選手とは10ヤード以上の差をつけている他、188cmと恵まれた身体を持っているだけに、ツアーに参戦し、しっかりシードを確保するようなプレーができれば国内No.1の飛ばし屋としての地位を固められるはずだ。

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