最近、汗の成分には抗菌作用を持つ成分が含まれるという報告もあります。従って、汗はかける環境ならばできる限りかき、すぐにしっかりと洗い流すことが大事です。

 汗に伴う蕁麻疹もあります。コリン性蕁麻疹と名前がついた蕁麻疹です。これは世間一般で知られている蕁麻疹とはちょっと違い、ぶつぶつが小さめです。運動や入浴、そして緊張などによって起きる蕁麻疹になります。蕁麻疹の出現時にかゆみだけでなく、チクチクとした刺激感や灼熱(しゃくねつ)感を伴うのが特徴的です。

 汗をまったくかけなくなる病気もあります。無汗症と呼ばれる病気です。汗をかけないために体温調整が難しく、日常生活に影響を及ぼします。無汗症には生まれたときから汗をかけない先天的なものと、生活をする中でなぜか汗をかけなくなってしまった後天性のものがあり、とても複雑です。

 このように、汗一つとってもさまざまな病気が存在します。また、かゆみだけでなく、ひりひりした感覚も皮膚疾患の可能性があります。皮膚にトラブルが多くなるこの時期、汗をしっかりと洗い流し皮膚疾患を予防することが大事です。そして万が一、症状が出たら皮膚科専門医を受診することをおすすめします。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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