プロでは活躍できなかったが早稲田大時代はスカウトから高い評価を受けていた大石達也(c)朝日新聞社
プロでは活躍できなかったが早稲田大時代はスカウトから高い評価を受けていた大石達也(c)朝日新聞社

 2010年代も多くのドラマがあったプロ野球ドラフト会議。毎年のように目玉と言われる選手が出現し、プロ入り後に期待通りの活躍を見せた選手もいればプロの壁や故障に苦しんでいる選手もいる。そこで今回は過去10年間(2010年~2019年)に指名された選手の期待度を番付形式で10人選んでみたいと思う。プロ入り後の活躍は考慮せず、あくまでもドラフト会議時点での評価を対象とした。前回の野手編に続いて今回は投手編をお届けする。

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西前頭筆頭(10位):斎藤佑樹(早稲田大→2010年日本ハム1位)

甲子園でのフィーバーの印象が強いが、大学4年間でもリーグ戦通算31勝、323奪三振、防御率1.77としっかり結果を残してみせた。縦の変化球を主体にしたクレバーな投球は見事で、間違いなく東京六大学野球の歴史に残る投手である。下級生の頃と比べて3年時以降、成績を落としたことは懸念されたが、最終的に4球団が1位指名した。

東前頭筆頭(9位):高橋純平(県岐阜商→2015年ソフトバンク1位)

3年春に出場した選抜で最速150キロをマークし、2試合連続二桁奪三振も記録。スピードだけでなくコントロールも安定しており、スケールと完成度を備えた大型右腕として注目を集めた。その後は左太ももの故障で夏の岐阜大会、U18W杯では不本意な投球に終わったが、その故障がなければ更に高く評価されていた可能性も高い。

西小結(8位):有原航平(早稲田大→2014年日本ハム1位)

広陵高時代から大型本格派として評判の右腕でプロからも高い評価を受けていたが早稲田大に進学。大学では2年秋からエースとなり、通算19勝をマーク。150キロを超えるストレートと抜群の制球力で世代ナンバーワンと言われた。最終シーズンは右肘の故障で出遅れたものの評価は変わらず、4球団競合のすえ日本ハムに入団した。

東小結(7位):松井裕樹(桐光学園→2013年楽天1位)

2年夏に出場した甲子園で新記録となる1試合22奪三振をマーク。準々決勝で光星学院(現八戸学院光星)に敗れたが、4試合で68個の三振を奪っている。上背はないが抜群の躍動感で、打者の手元で鋭く縦に変化するスライダーは“消える”と言われた。3年時は横浜に敗れて甲子園出場は逃したものの高い評価は変わらず、5球団の1位指名を受けた。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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