「勇人はいろいろなものを我慢して、チームに対して献身的にやっている」

 前出の球団関係者は、坂本の姿勢はチーム全体に大きな影響を与えている、と言う。

「口には出さないけど、2000本安打の記録更新はできる、と思っていたはず。球史に名前を残せるわけだから、興味がないはずはない。開幕延期になって内心、悔しかっただろうね。でもそれを一切表に出さず、来るべきシーズン開幕に向けて率先してチームを引っ張っていた。そんな勇人がウイルス感染した。やりきれない気持ちでいるはず。今はかける言葉が見つからない」

「夢としては持っている」と語っていたメジャー移籍を封印。18年オフに5年の長期契約を結び、生涯・巨人を決心してグラウンドに立った。その初年度となる昨年は5年ぶりのリーグ優勝を果たした。次は2012年以来8年ぶりの日本一奪回を目標に掲げている。

「一途で熱い男だから今回のことで責任を大きく感じていると思う。だからここからの坂本は見もので、これまで以上に野球に没頭するはず。天才が死ぬ気でやればどこまでも伸びる。もしかすると打率4割などという、とんでもない成績を残して巨人を頂点に導いてくれるかもしれません」(前出の巨人担当記者)

「神様は乗り越えられない試練は与えない」とよく言われる。坂本にとって今回の件は、さらなる成長ができる機会なのかもしれない。

 球団発表では早期での復帰可能ということ。まずは健康な姿で再び巨人のユニフォームに袖を通して欲しい。また坂本ほどのスターがウイルスを打ち破れば、世間に対してこれほど大きなメッセージはない。

 ヒーローはピンチのあとに大逆転するもの、と昔から相場が決まっている。