歯周病は初期のうちは歯の周囲の歯肉の炎症だけにとどまっています。この段階を歯肉炎といい、きちんと治療をすれば一時的にできていた歯肉ポケット(仮性ポケットという)は元に戻ります。一方、歯肉炎を放置し、炎症が拡大して歯周ポケット(真性ポケットという)の状態になると、治療をしても組織が完全には元通りにならなくなります。歯槽骨が失われ、歯肉が下がり(退縮)、歯と歯のすき間もあいてしまいます。

 そして炎症を繰り返すたびに歯周組織の破壊は確実に進んでいきます。歯周組織を失って後悔する人は少なくありません。

 進行した歯周病にならないためには歯周病を初期のうちに見つけることです。そのために役立つ歯周病セルフチェックリストを以下に掲載しています。一つでも当てはまる項目があったら、歯周病の可能性があります。症状が強くなくても、必ず歯科医院を受診してください。

■歯周病セルフチェック

当てはまるものにチェックをしてみましょう

□ 歯肉がときどき赤く腫れる
□ 歯肉がむずむずする
□ 歯が浮いた感じがする
□ 冷たいものがしみる
□ 歯を磨くと歯肉から出血する
□ 下の前歯の裏側に歯石がついている(ザラザラした感じがする)
□ 朝起きたとき口の中がネバネバする
□ 歯肉を押すと血や膿が出る
□ 口臭を指摘された・自分で感じる
□ 「サ行」の音が発音しにくい
□ 歯と歯の間に食べ物がはさまりやすい
□ 歯を押すとグラグラする
□ 歯肉が下がり、歯が長くなった感じがする
□ 以前とは歯並びが変わったような気がする

※『続・日本人はこうして歯を失っていく』より

≪著者紹介≫
日本歯周病学会/1958年設立の学術団体。会員総数は11,739名(2020年3月)。会員は大学の歯周病学関連の臨床・基礎講座および開業医、歯科衛生士が主である。厚労省の承認した専門医・認定医、認定歯科衛生士制度を設け、2004年度からはNPO法人として、より公益性の高い活動をめざしている。

日本臨床歯周病学会/1983年に「臨床歯周病談話会」としての発足。現在は、著名な歯周治療の臨床医をはじめ、大半の会員が臨床歯科医師、歯科衛生士からなるユニークな存在の学会。4,772名(2020年3月)の会員を擁し、学術研修会の開催や学会誌の発行、市民フォーラムの開催などの活動をおこない、アジアの臨床歯周病学をリードする。