■COPD、喘息の服薬の中断はリスク

 新型コロナウイルスはACEIIというたんぱく質を目印に感染することがわかってきたが、COPDや喫煙者の肺では、このたんぱく質が増えていることも不安要素だ。

 なお、肺疾患の保有者が仮に感染した場合、せき・たん・息切れの呼吸器症状が出やすく、無症状ではいられないことが多いという。大切なのは持病の治療を続けることだ。

「感染が怖くて通院したくないという気持ちもよくわかります。状態が安定していれば電話やオンラインによる診療を利用するのもいいと思いますが、かかりつけ医の予約診療は通院してほしいです。特に喘息は症状に合わせて薬の量を調整することが、気道の炎症を取るためには重要です。COPDも服薬の中断は病気の進行を加速させ、ウイルス感染のリスクを高めることになります」(同)

 感染予防の観点から慢性肺疾患の患者が特に気をつけるべきことを聞いた。

「日本呼吸器学会も声明を出しましたが(4月20日付)、強調したいのは禁煙です。新型たばこを含めて、手を口元に近づける行為が感染の素地となるなど、中国・武漢の患者の解析から、年齢や基礎疾患に勝る最大の重症化リスクであることが明らかになっています。家族で家に籠もる状況では受動喫煙の問題もあり、この機会に禁煙してください」(同)

<取材した医師>
日本大学板橋病院 呼吸器内科部長・主任教授 權 寧博医師

(ライター・山崎正巳)

週刊朝日  2020年6月5日号