■請求手続は「被害から1カ月程度」のうちに!

 まずは書き込みがあったサイトの運営会社(ツイッターの場合はツイッター社)に対して、投稿者の「IPアドレス」の開示を請求する。IPアドレスはネットワーク上にある通信機器を識別するための番号で、ネット上の住所のようなもの。ただし、IPアドレスだけでは、書き込んだ人物の特定はできないため、IPアドレスをもとに投稿者が利用しているプロバイダを割り出し、契約者情報の開示を求めることになる。

 その手順について、みずほ中央法律事務所の代表弁護士・三平聡史さんにアドバイスしてもらった。

申立に当たってまず必要なのは、自分が誹謗中傷されている書き込みの証拠だ。ネット上で見つけ次第、片っ端からスクリーンショットをとって保存していく。

「書き込みや投稿は、その人のプライバシーを侵害する表現や名誉を毀損する表現がなされていることが前提です。いずれにしても証拠は基本的にスクリーンショットとなります。特定が不十分にならないためにも、スクリーンショットをとった(表示されていた)日時やURLも印刷されていた方がいいでしょう」(三平弁護士)

 誹謗中傷の書き込みがあまりにも多い場合はどうすればいいのだろうか?

「SNSや掲示板などのコンテンツプロバイダの運用上、書き込みがあった時に投稿者のIPアドレスを記録することになっていますが、3カ月程度でIPアドレスの記録を消去していることが多いです。そのため、書き込みを見つけ次第、なるべく早く、1カ月程度のうちに発信者情報開示請求手続を行う方がいいでしょう。あまり古い書き込みだと『IPアドレスの記録がない(消去済み)』ということで特定できなくなる可能性が高まります。ですから、新しい書き込み(1カ月程度から最大でも3カ月程度)を証拠にすることが求められます」(三平弁護士)

 どんなに悪質な内容であっても、時間が経てばIPアドレスという唯一の手がかりをたどれなくなってしまうため、迅速な行動が必要だ。また、投稿やアカウントがあとになって削除されても、投稿の証拠が残っていれば発信者情報開示請求を行って追跡することができる。

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発信者情報開示請求を断られたら…