06年の活動休止中にも増田と組んだデュオ「テゴマス」で貢献したが、新生NEWSではさらにパワーアップ。センター的ポジションに立って「みんなが彼女。愛してる」と臆面もなく叫ぶ王子様的芸風を開花させた。これが落ち込んだファンの気分を上げ、残った4人についていこうというムードにもつながった。

 このキャラは「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)でも生かされることに。高視聴率番組のレギュラーがいることはグループに追い風となり、16年には「24時間テレビ」(日本テレビ系)の司会を7年ぶりに務めたりもした。

 手越はプライベートでハメを外すこともたびたびで、スキャンダルにも事欠かず、たたかれることもあるが、

「批判書いてるあいだは少なくとも俺のこと考えてるわけだから、俺のこと好きなんだなって変換してます」(「ホンマでっか!?TV」フジテレビ系)

 というスタンスで乗り切ってきた。ギリギリのところで身をかわせてきたのも一種の才能で、いまどき珍しい芸能人としての華も感じさせたものだ。

 ただし、このキャラとスタンスは両刃の剣でもある。スキャンダラスな姿はグループの過去を思い出させるし、未来のリスクを予感させた。今回、それが現実化したかたちだ。

 なぜなら、本人は変わらなくても、周囲の状況は変わる。芸能人にも一般人と同じモラルを求める風潮、それを重視するといわれる滝沢秀明副社長による新体制、そしてコロナ禍。本人はいつもの調子でやったのだろうが、状況の変化により、いつものことと大目には見てもらえなかったわけだ。

 それでも、山下たちの抜けた穴を誰よりも埋めたのは、オマケみたいにグループ入りした手越だ。思えば、なんでもありのごった煮っぽさから始まり、それゆえの多様性やゆるさ、危うさが魅力だったNEWS。4人になってからはそのチームワークとファンの温かさで、安定した活動を続けてきたが、それもひと区切りとなる。

 次に届けられるニュースは何なのか。できれば、ファンを喜ばせるものであってほしい。

宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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