将来が嘱望されているロッテの藤原恭大 (c)朝日新聞社
将来が嘱望されているロッテの藤原恭大 (c)朝日新聞社

「あそこの球団は若手が伸びている、伸びていない」、そんな会話をしたことのあるプロ野球ファンは多いのではないだろうか。スタメンにベテランが多い球団などは、近い将来が不安になることもあるはずだ。では現在、若手が充実している球団はどこになるのか、昨年の成績をもとに検証してみたいと思う。今回はパ・リーグの6球団だ。

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 まず今年の満年齢で24歳以下の選手が記録した数字を投手は試合、投球回、勝利、セーブ、ホールド、野手は試合、打席、安打、本塁打、打点、盗塁について集計したところ以下のような結果となった。なお外国人選手は除外している。

西武
投手:6人 93試合 376回1/3 26勝 1セーブ 6ホールド
野手:6人 125試合 187打席 31安打 3本塁打 12打点 1盗塁

ソフトバンク
投手:7人 143試合 180回2/3 8勝 8セーブ 46ホールド
野手:7人 193試合 256打席 46安打 2本塁打 15打点 29盗塁

楽天
投手:2人 12試合 41回 0勝 0セーブ 0ホールド
野手:8人 448試合 1054打席 188安打 10本塁打 89打点 19盗塁

ロッテ
投手:6人 104試合 332回 20勝 0セーブ 13ホールド
野手:4人 85試合 161打席 25安打 2本塁打 13打点 0盗塁

日本ハム
投手:6人 125試合 147回 9勝 6セーブ 26ホールド
野手:7人 271試合 756打席 154安打 13本塁打 75打点 2盗塁

オリックス
投手:7人 60試合 287回1/3 14勝 0セーブ 1ホールド
野手:8人 371試合 1132打席 250安打 12本塁打 87打点 38盗塁

 まず投手陣だが、先発が最も充実しているのは西武だ。高橋光成、今井達也、松本航のドラフト1位トリオで24勝をマークした。防御率は全員4点台中盤と安定感には乏しいものの、まずは先発で多くのイニングを投げられたのは非常に大きい。近い将来、リーグを代表する三本柱になる可能性も十分だろう。リリーフでは平良海馬が台頭してきたことが大きい。上背はないものの150キロを超えるストレートは大きな魅力。今年はセットアッパー定着が期待される。

 ロッテも種市篤暉、岩下大輝の二人がローテーション入りを果たし、6人トータルでは西武に次ぐ20勝をマークした。ともに高校卒の本格派でまだまだ成長が期待できる。リリーフでは東妻勇輔が有望株だ。この2球団に続くのはオリックスだが、何といっても山本由伸の存在が大きい。昨年は最優秀防御率のタイトルも獲得し、この年代ではトップの投手と言える。ドラフト1位入団の田嶋大樹、育成選手出身の榊原翼も今後チームを支える存在となりそうだ。

 一方の野手は楽天とオリックスが目立つ。楽天は辰己涼介、太田光、渡辺佳明、小郷裕哉のルーキー4人が昨年一軍戦力となったことが大きい。今年で5年目を迎えるオコエ瑠偉にも開花の兆しが見られるのもプラス材料だ。ただ盤石なレギュラーまではもう一歩という選手が多い印象だ。オリックスも中川圭太がいきなりレギュラーに定着。西浦颯大、宗佑磨の高校卒選手も成長が見られる。しかしこちらも太い柱となると、少し物足りなさを覚えるのが現状である。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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各チームの2軍の有望株は?