「『やめとけばいいのに』と思いつつ、どこかで村本くんが袋叩きにされることを望んでいた。恥ずかしながら、私は自分の仕事に追われる毎日で、小学校で習った憲法なんて忘れている。だから、村本くんが『憲法9条教えてくれ』とはっきりと発言したことに感動した」

 僕はニュースとか討論の場が、毎回続き物のようにやっていることに違和感を覚える。長編の漫画を途中から読んで楽しんでいる人だっていっぱいいる。だから、そういう人のために、毎回1巻からのおさらいを誰かがしてくれてもいいと思う。僕は“朝生”で袋叩きにされたわけだけど、発言したことで多くのことを知ることができた。

 そもそも、芸能人とかが何か発言したところで、それだけで鵜呑みにする人はいない。少なくとも、それだけで政権がひっくり返るなんてことはないだろう。でも、きゃりーぱみゅぱみゅさんや、浅野忠信さんが発信することで、それに反論する第2・第3の意見が出てくる。それについてまた考えたうえで発信して、すると第4・第5の意見をもらう。そういうのを重ねてはじめて議論は高まるのだと思う。

 あと、#の抗議ツイートを取り消した人もいるが、そもそも発言することと、たたかれることはセットだと覚悟しておいてほしい。「この国は芸能人が政治的発言をするとすぐ怒るのか」とか言ったり、「政治のこと言うと干されるかもしれないけど、俺は発言する」とか言う人にも違和感を感じる。泣き言を言っている暇があったら、曲の1曲でもつくって政権批判すればいいのにと思う。

 ただ、芸能人は顔と名前、所属事務所もバレている。だから発言によっては仕事に影響することもある。元KAT-TUNのメンバーで歌手の田口淳之介さんが大麻で逮捕されたとき、僕は大麻についていろいろ調べた。そして「大麻合法化しようぜ」とツイートしたら、出演が決まっていた番組を降ろされた。僕はテレビの仕事は多くないから痛くないけど、「もしテレビに出るなら、発言に気をつけないといけないな」とは思った。それはつまり、安全策をとるなら「発言しない方がいい」ということ。同じように考えている芸能人は多いと思う。

 くわえて、誹謗中傷してくるのはどこの誰かもわからない人たち。彼らに囲まれたなかで、今回の#をつけて発言した人たちには拍手を送りたい。#でもなんでもいいから参加しようぜ。わからなければ誰かが怒ってくれるから。(聞き手・AERA dot.編集部・井上啓太)