マウスガードでスポーツのパフォーマンスは向上する? 注目されるスポーツ歯科 (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

マウスガードでスポーツのパフォーマンスは向上する? 注目されるスポーツ歯科

連載「スポーツ医が語る「スポーツ×医療」まるわかり講座」

松本秀男dot.#ヘルス#病気#病院
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

※写真はイメージです(写真/Getty Images)

松本秀男(まつもとひでお)/医師。専門はスポーツ医学。1954年生まれ。東京都出身。1978年、慶応義塾大学医学部卒。2009年から2019年3月まで、慶応義塾大学スポーツ医学総合センター診療部長、教授。トップアスリートも含め多くのアスリートたちの選手生命を救ってきた。日本臨床スポーツ医学会理事長、日本スポーツ医学財団理事長

松本秀男(まつもとひでお)/医師。専門はスポーツ医学。1954年生まれ。東京都出身。1978年、慶応義塾大学医学部卒。2009年から2019年3月まで、慶応義塾大学スポーツ医学総合センター診療部長、教授。トップアスリートも含め多くのアスリートたちの選手生命を救ってきた。日本臨床スポーツ医学会理事長、日本スポーツ医学財団理事長

 マウスガードは、U字形で弾力性のある樹脂でできており、通常上あごの歯に装着します。色や形状はさまざまなものがありますが、各競技連盟・団体によっては規定により使用できるマウスガードに制限がある場合があります。例えば、高校野球や柔道で使用が認められているマウスガードは、白または透明なものに限られていますが、ラクロスやアメリカンフットボールでは、反対に白と透明以外の、着用が一見してわかる色のものが望ましいとされており、違いがあります。

 マウスガードの効用には、以下の二つがあります。

 一つ目は、衝撃緩和による口腔外傷の予防です。マウスガードを着用することで、衝撃が直接歯に伝わるのを防ぎ、口腔内や顎関節のけがを防いだり、軽減したりできます。また、歯をかみしめる際に歯にかかる負担を減らして、歯の擦り減りや破折を防ぎます。さらに、頭部への衝撃を緩和することで、脳しんとうのリスクも軽減できると考えられています。

 二つ目は、適正なかみ合わせによる、パフォーマンスの向上です。スポーツ科学の研究が進み、歯の状態やかみ合わせが運動パフォーマンスに影響することがわかってきました。たとえば、私たちは重い物を持ち上げるときなど、力を入れる瞬間には自然と歯を食いしばりますが、咬筋(こうきん)が収縮すると手足の関節が固定されます。反対に、歯をかみしめない状態にしていると、素早くしなやかに動くことができます。また、かみ合わせの力が弱いと動作に時間がかかること、かみ合わせの面積が広いとからだのふらつきが少ないことなども明らかになってきました。

 そのため最近では、身体バランスや集中力、瞬間的なパワーが必要とされる競技、ゴルフ、ウェートリフティング、弓道、アーチェリー、射撃などでも、かみ合わせをよくするためのマウスガードの着用が広がってきています。

 ただ、なかには大会でマウスガードの着用が違反とされた例がありますので、注意をしておくべきでしょう。過去に、国内のプロゴルフツアーで、飛距離をのばすためにマウスガードを使用したとして、規定の「人工の機器と異常な携帯品、携帯品の異常な使用」に抵触するとの判断で失格とされた事例がありました。ゴルフのような申告制のスポーツでは、あらかじめ確認しておいたほうがいいでしょう。


トップにもどる dot.オリジナル記事一覧

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい