1度目の抽選でプロ入りした選手は25人で、そのうちレギュラークラス以上になっているのは11人。平沢、清宮、藤原、根尾、小園などは今後レギュラーになる可能性が高いため、彼らを含めれば16人になるが、それでも成功率は64%と一本釣りで入団した選手と比較してもそれほど高くないという結果になった。

 一方、抽選で外れた後の1位指名でプロ入りした選手は62人で、レギュラークラス以上になっている選手は22人となった。オコエ、小笠原、安田、吉田など高校卒でこれからまだ成長が期待できる選手はいるものの、抽選や一本釣りでプロ入りした選手と比べると、やはり成功率は低い。“外れ外れ1位”の山田がフューチャーされることが多いが、やはりこのような例はそうあるものではないことがよく分かるだろう。

 またポジションやカテゴリーでも傾向が見えてくる。一本釣りで成功している選手は筒香、今宮、森、岡本、吉田正尚と圧倒的に野手が多いのだ。抽選の結果プロ入りして、リーグを代表する選手となっている5人全員が投手であるというのとは対照的だ。また抽選を外した結果指名した選手でレギュラーとなった顔ぶれを見てみると、榎田、安達、松永、石山、増田、加治屋、小林、鈴木博志、近本と社会人出身の選手が圧倒的に多い。

 その年によって当然状況は異なるが、近年の傾向から見ると一本釣りであれば野手を狙い、抽選で外した場合には社会人に向かう、という方法が成功率の高い手段と言うこともできそうだ。このような視点でドラフトを見ることも、また一つの楽しみ方と言えるだろう。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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