埼玉西武が“一本釣り”に成功した森友哉 (c)朝日新聞社
埼玉西武が“一本釣り”に成功した森友哉 (c)朝日新聞社

 ドラフト会議の世界では“一本釣り”という言葉がある。1位指名の最初の入札で他球団と重複することなく、その選手の交渉権獲得に成功することだ。人気が集中する選手を避ける逃げの姿勢と見られることもあるが、他球団の動向を読み切って情報戦に勝利した結果と言えるケースもある。そこで今回はそのような一本釣りの成功率は果たして高いのか検証してみたいと思う。

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 2005年に導入された高校生、大学生・社会人の分離ドラフトが再統合された2008年以降、一本釣りでプロ入りした選手は43人。ちなみに長野久義、沢村拓一、菅野智之(いずれも巨人)の三人は巨人以外の球団は入団拒否という姿勢を示しており、大谷翔平日本ハム)はメジャー行きを表明していたという事情もあるため、今回の対象からは外した。また、昨年のドラフトで指名された森下暢仁(広島)と森敬斗(DeNA)もまだプレーしていないため除外している。この合計6人を除いた37人について現時点での結果で分類すると以下のような結果となった。

■一本釣りでプロ入りした選手(2008年~2018年):37人

・リーグを代表するクラス:7人
筒香嘉智(2009年横浜)
今宮健太(2009年ソフトバンク
森友哉(2013年西武
岡本和真(2014年巨人)
今永昇太(2015年DeNA)
吉田正尚(2015年オリックス
山岡泰輔(2016年オリックス)

・チームのレギュラークラス:15人
大野奨太(2008年日本ハム)
荻野貴司(2009年ロッテ
今村猛(2009年広島)
大野雄大(2010年中日
野村祐輔(2011年広島)
十亀剣(2011年西武)
武田翔太(2011年ソフトバンク)
吉田一将(2013年オリックス)
中村奨吾(2014年ロッテ)
高橋光成(2014年西武)
多和田真三郎(2015年西武)
今井達也(2016年西武)
大山悠輔(2016年阪神
東克樹(2017年DeNA)
松本航(2018年西武)

・レギュラークラス未満:15人
赤川克紀(2008年ヤクルト
岩本貴裕(2008年広島)
木村雄太(2008年ロッテ)
甲斐拓哉(2008年オリックス)
中崎雄太(2008年西武)
古川秀一(2009年オリックス)
伊藤隼太(2011年阪神)
福谷浩司(2012年中日)
野村亮介(2014年中日)
山崎福也(2014年オリックス)
松本裕樹(2014年ソフトバンク)
岡田明丈(2015年広島)
桜井俊貴(2015年巨人)
藤平尚真(2016年楽天
寺島成輝(2016年ヤクルト)

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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抽選で指名された選手の活躍度合いは?