手指用のアルコール消毒液も同様のしくみで、感染力を失わせることができる。その濃度は70%が推奨されている。アルコールの中でも「エタノール」が一般的な成分だ。気をつけたいのは、一字違いの「メタノール」。同じアルコールだが、主に燃料用として売られている。


 
「現在も売られているかはわかりませんが、3月に『メタノール』が薬局に置かれていたという相談事例がありました。危険なので、手指の消毒には絶対に使用しないでください」(国民生活センター商品テスト部担当者)

 ウイルスの膜を壊すという点では、界面活性剤入りの洗剤なども効くはず。実際、5種類の界面活性剤で効果が確認され、経済産業省とNITEが共同で5月22日、家具や台所周りの消毒に使えるとして発表した。洗剤のリストもウェブサイト(※)で公開されている。

「もともとSARSに界面活性剤が有効だとは確認されていました。ウイルスの構造上の特性である脂の二重膜を溶かすからだと考えられています。ならば、新型コロナにも有効だろうと、代表的な界面活性剤11種類について検証試験を行ったところ、そのうち5つで効果があったのです」(NITE担当者)

 注意すべきは、界面活性剤でも効果があるものとそうでないものがあること、洗剤はあくまでモノの消毒に使うこと。製品は人体への安全性を保証したものではないので、手指や皮膚の消毒には使わないことだ。

■「ハイター」「ブリーチ」など塩素系漂白剤を薄めてもOK

 意外と知られていないのが、ドアノブや食器などの消毒に家庭用塩素系漂白剤が利用できること。成分としては「次亜塩素酸ナトリウム」で、「ハイター」「ブリーチ」などの商品名で600ミリリットル入り200~300円程度でスーパーやドラックストアで広く売られている。

 それに水を加え、濃度を0・05%程度に薄めて、拭きとり用の液として使う。こんなに簡単に、しかも安く作れるのなら、シュッシュと霧吹きで何でも消毒したいところだが、これはNGだ。その理由を、国民生活センター商品テスト部の担当者は説明する。

「塩素系漂白剤に触って、指がぬるぬるしたことはありませんか?いわゆるpH(ペーハー)ではアルカリ性の液体です。皮膚のタンパク質を解かすのです。霧吹きをすれば、それを吸いこんで、気管を痛めてしまう恐れがあります」
 
 よって手指の消毒にも適さない。次亜塩素酸ナトリウムを扱う際には、手袋を着用し、喚起をする、最後に水拭きすることがポイントだという。

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似て非なるもの。売れ筋商品の有効性は……