NASHはすでに肝炎を起こしている状態で、治療せずに放置しておくと20~30%が肝硬変や肝がんに進行するといわれています。

 このNASHを引き起こす危険因子として、歯周病菌の関与が明らかになってきました。横浜市立大学の研究によれば、NASHの患者群は健常な人に比べて歯周病のP.g菌の保菌率が高く、約50%にも及ぶことがわかったのです。そしてP.g菌が見つかったNASHの患者さんに歯周病の治療を受けてもらったところ、肝機能の悪化を示すALTとASTの数値が改善し、この研究結果はイギリスの学術誌にも発表され、注目されています。

≪まとめ≫
・お酒が原因でない脂肪肝、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の発症に歯周病が関与している
・NASH の患者が歯周病治療をした結果、肝機能の数値が改善するという研究結果が得られた

※『続・日本人はこうして歯を失っていく』より

≪著者紹介≫
日本歯周病学会/1958年設立の学術団体。会員総数は11,739名(2020年3月)。会員は大学の歯周病学関連の臨床・基礎講座および開業医、歯科衛生士が主である。厚労省の承認した専門医・認定医、認定歯科衛生士制度を設け、2004年度からはNPO法人として、より公益性の高い活動をめざしている。

日本臨床歯周病学会/1983年に「臨床歯周病談話会」としての発足。現在は、著名な歯周治療の臨床医をはじめ、大半の会員が臨床歯科医師、歯科衛生士からなるユニークな存在の学会。4,772名(2020年3月)の会員を擁し、学術研修会の開催や学会誌の発行、市民フォーラムの開催などの活動をおこない、アジアの臨床歯周病学をリードする。