またマージャンは、一人で興じるパチンコのようなギャンブルとは、孤独感の埋め方が異なります。パチンコ依存症者の場合、パチンコ店という、その空間自体がほっとできる居場所なのです。誰にも干渉されずに打ち続けることで、心が安らぎます。

 一方、マージャン好きの場合は複数人かつ、頻繁に集まることが多い。孤独感が強く、嫌な感情を忘れるために、常に人に囲まれていたいタイプが多いのです。組織の中で地位を築き上げてきた人に、いかにもありそうなパターンと言えます。

――今回のコロナ禍でパチンコ依存症者の存在はクローズアップされましたが、賭けマージャンでも依存症になる人は多いのでしょうか。

田中氏 マージャンの依存症者は、最近の若い人にはほとんど見られません。マージャン依存は今の50代以上、60~70代が中心で、まさに黒川さんの世代です。

 彼らの多くが、大学のころからマージャンを始めていた世代です。ギャンブルは、若いころから始めたほうがやめにくいと言われています。実際に、「依存症者」と「愛好家」では、ギャンブルを開始した年齢に違いがあります。依存症者のギャンブル開始年齢は、平均18.1歳。一方の愛好家は、平均30.1歳。ギャンブルを早く始めれば始めるほど、依存症になるリスクは高くなるのです。

 また、マージャンは夜から深夜、朝方までと、多くの時間を費やすことになりがちです。これまで私が見てきた依存症者の中には、仕事を犠牲にする人も多くいました。

 そこに役職は関係ありません。例えば、元大王製紙会長の井川意高さんのように、役職があって高いポストについていながら、マージャンに溺れてしまう人もいます。

 一方の記者はお付き合いでしょう。マージャンは接待。取材対象者が釣り好きなら釣りをするし、登山が好きだったら登山に行きます。今回のマージャンは黒川さんが主導していたと考えるのが自然です。

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辞職した後の方が心配