不調が深刻化しないよう、心をメンテナンスする手段の一つがカウンセリングだ。心療内科と混同されがちだが、カウンセリングは医療行為とは異なり、個人の持つ悩みや問題に対し、心理学的なアプローチで解決の援助をする。つまり、誰でも気軽に受けられるものだ。

 cotreeの場合は相談者の特性や状態、目的からアルゴリズムを使い、自社で審査した120名ほどのカウンセラーとのマッチングを行う。カウンセリングの方法は、ビデオ通話か電話で「話す」タイプと、メールで「書く」タイプの2種類。対話やメールを通じて問題の整理をし、自身で解決していけるサポートをしていくのが基本だ。

「カウンセラーにとっては、オンラインだと得られる情報が限られるので、スキルがより求められます。一方、受ける側は仕事や家事の合間を利用できるなど、オンラインは便利な点が多いんです」

 対面で行ってきたカウンセラーも、現在はオンラインに移行せざるを得ない状況だ。実際、同社では新規のカウンセラーの応募者数が、2月から4月で倍以上に膨らんだという。4月だけで100人以上の応募があったそうだ。

 櫻本さんは、心の問題で改めて注意が必要なのは、緊急事態宣言が全て解除され、自粛が明けてからだとみている。

「通勤生活が始まって新たな変化が重なると、不安やいら立ちが高まりやすくなりますし、それまではみんな緊急時だからと我慢していたことが、平時に戻って慢性的なストレスに変化していきます。日常からこのウイルスの脅威がなくなるわけでもありません。また、在宅勤務ではストレスを抱えていた人が可視化されづらかったけれど、出社によって不調者が表に出てくる可能性もあります」

 現在、cotreeでは企業や個人の支援者を募り、医療従事者をはじめ、新型コロナウイルス関連で心の不調を感じている人に向けて、最大1万人を目標に無償でカウンセリングを提供する「新型コロナメンタルサポートプログラム」を始めている。

 コロナと共に生きる時代、心のバランスを崩しそうになった時のために、オンラインカウンセリングという選択肢があることを覚えておきたい。(文/カスタム出版部)