(イラスト/渡辺裕子)
(イラスト/渡辺裕子)

「歯周病」という病名は広く一般の方々に認知されるようになりました。しかし、歯周病についての正しい情報が得られているとはいえません。日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会は、国民に歯周病について正しい情報を伝える公式本『続・日本人はこうして歯を失っていく』を発刊しました。本書から、「入れ歯は歯周病を悪化させる?」「インプラントも歯周病になるの?」など、Q&Aの一部を抜粋してお届けします。

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Q 歯周病で減ってしまった骨は治るの?

A 中等度までなら治るケースが多い

 歯周病で歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が減ってしまっても、歯周病の基本治療や外科手術で、歯や歯根に付着したプラークや汚染した歯根表面をきれいにすることができれば、からだ本来の治癒力により、一定量の骨が再生されることがわかっています。

 一方、生体材料や薬剤を使って骨を再生させる、「歯周組織再生療法」も広くおこなわれています。患者さんにより効果が出るまでに差はありますが、中等度までの歯周病で適応条件が満たされた状態であれば半年から9カ月で骨が再生します。歯槽骨が大きく失われ、歯がグラグラしているような場合は治療対象にならないことが多いのです。

Q 入れ歯は歯周病を悪化させる?

A バネを引っかける歯は悪くなる

 失われた歯やかみ合わせを補う「部分入れ歯」は残った歯に「クラスプ」という、金属のバネを引っかけて使います。このため歯に負担がかかりやすく、歯周病がある場合は進行のリスクになりえます。セルフ・ケアやメインテナンスが不十分だと、歯周病が進み、歯がダメになる危険もあるので、リスクを十分に考えた上で治療を受けるべきでしょう。

 なお、最近はバネの見えないノンクラスプデンチャーが普及していますが、バネがない分、歯を大きく覆うので、プラークが付着しやすいだけではなく、自浄性が悪いため歯周病予防の観点からするとおすすめできません。

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インプラント治療後も歯周病になるの?